言論弾圧を甘受する決意を示した共同通信

-47NEWS 2019/9/21 対韓国「歴史戦」の布陣に 日韓基本条約揺らぐ事態も

先に組閣された改造安倍内閣について「歴史戦」シフトとして“解説”した共同発の記事ですが、ちょっと信じがたいような一節があります(下線は引用者)。

元徴用工訴訟問題では国際法違反の早期是正を要求し、貿易面では輸出管理強化を徹底する。教科書検定への干渉は許さず、日本国内の「偏向」報道は目こぼししない。領土や海洋権益の問題には厳しく対応する―。各閣僚は連携して、安倍政権としての強い姿勢を示していくとみられるが、こうした対応で、果たして文政権から譲歩を引き出せるだろうか。

 下線部は要するに安倍政権が意に沿わない報道をしたメディアに圧力をかけるつもりでいると予測しているわけですが、それに対するこの記者の反応が「こうした対応で、果たして文政権から譲歩を引き出せるだろうか」ですよ! まるで「それで文政権から譲歩を引き出せるのであれば、報道への圧力もしかたない(あるいは歓迎すべきだ?)と言わんばかりです。「偏向」に「 」がついているということは、これがあくまで安倍政権の観点からの「偏向」でしかなくその評価を記者が直ちに受け入れているわけではない、ということのはずです。しかしそうであれば、「文政権から譲歩を」引き出せるかどうかなどということとはまったく無関係に、メディアとしてそのような政府の姿勢を批判しなければおかしいでしょう。

“解説”者を気取るメディア人がただの翼賛者に堕するとは、こういうことなんですね。

本物のアホなのか安っぽいインチキ野郎なのか、判断に迷うケース

主要エントリリストを記した記事のコメント欄に興味深いコメントをカーツウェルさんから頂戴したのですが、議論には不向きな場所だったのでこちらに転載させていただいたうえでお答えしたいと思います。

従軍慰安婦の待遇のうち、外出の自由について、以下のように言われたんです。こちらで探しても外出の自由を制限するのは見つかるがそうでないのが見つからずです。
何か心当たりがあれば助力をお願いしたいのですが、対応は可能でしょうか。

先方は従軍慰安婦資料集成を根拠に
しているそうです。

常州、マニラ、イロイロには外出を許可制とする規程があるがマステバ、遠山隊、中山隊、石兵団、スチュアード等過半数の部隊には外出を制限する規定はないので「慰安婦に外出の自由がない」は間違い、もしくは印象操作

 元のツイートはこちらですね。

https://twitter.com/MituzoJ/status/1171989571661225985

そもそもそんな事実があれば秦郁彦が持ち出さないはずがないのであって、調べるまでもなく胡散臭いですよね。さらにすべての軍「慰安所」について営業規定が見つかっているわけではない以上、「過半数の部隊」というのはまったく無意味な主張です。

とはいえそれで片付ければ向こうが勝利宣言するに決まってます。文書名にきちんと言及されていないので100%確実とは言えないかもしれませんが、『政府調査 「従軍慰安婦」関係資料集成』に収録されたものだとすれば、このネトウヨが言っているのはおそらく以下の資料です。いずれも第3巻に収められているものです。

「マステバ」=「軍人倶楽部規定[マスバテ島警備隊長]」(第3巻60番)

「遠山隊」=「外出及軍人倶楽部ニ関スル規定[直兵団遠山隊]」(3巻82番)

「中山隊」=「軍人倶楽部利用規定[中山警備隊]」(第3巻89番)

「石兵団」=「石兵団会報」(3巻91番)

「スチュアード」=「海軍慰安所利用内規[第12特別根拠地隊司令部]」(3巻106番)

最後のものなどは「利用内規」という文書名だけからもわかることですが、これらはいずれも日本軍将兵に対して、「慰安所」の利用方法を示した文書です(「石兵団会報」にはそれ以外の内容も含まれる)。「外出及軍人倶楽部ニ関スル規定」の「外出」というのも日本軍将兵の外出を指しています。だからこれらの文書はそもそも軍「慰安婦」に適用されるものではなく、「慰安婦」の外出を制限する条項が含まれていないのはあたりまえです。

当該文書さえ探し当ててしまえば「石兵団会報」以外は大した量の文書でもないですからすぐバレる話で、インチキにしてはずいぶんと安易です。かといってざっと見るだけでも日本軍将兵を対象とする規定であることがわかる文書を誤読するというのも底抜けのマヌケさですし……

 

「敗北」も正しく認識できない池田信夫

まあ池田信夫になにかを期待する方がアホですが。こんな駄文を書いております。

-アゴラ 2019年08月18日 「日本はなぜ慰安婦問題で韓国に敗北したのか

「なぜ」って日本に勝ち目があると思ってたのかよとか、そもそも勝ち負けじゃないだろとか、基本的な発想が間違ってますが、ディテールも相変わらずでたらめです。

2000年代後半に話題になったのは、強制連行ではなく性奴隷だった。これが1996年に国連人権委員会のクマラスワミ報告で使われたときは、軍が慰安婦を強制連行したという意味だったが、その唯一の根拠だった吉田清治の話が嘘とわかって意味が曖昧になった。

 なんですかこの珍説は! 人間の奴隷化を禁止する国際条約は逐次更新されて現在に至っていますが、いわゆる「ホワイト・スレーヴ」すなわちヨーロッパ系女性の性奴隷化を禁止するものであれば1904年、奴隷禁止条約の方は1926年に締結されています。

次はもっとすごいですよ。

NYタイムズの記者によれば、彼らは性奴隷を人身売買の意味で使っているという。この意味での(民間の業者の)性奴隷は、戦時中の朝鮮にも内地にもたくさんいた。それは親の借金を返すために娘が身売りする「借金奴隷」だった。

それを強制と呼ぶなら、当時は世界中で強制が行われていたが、その法的責任を日本政府に問うことはできない。女性だろうと男性だろうと、日本が奴隷を公認したことは一度もないからだ。日本では人身売買は戦前も違法だったので、奴隷制は存在しない。奴隷制憲法で公認したアメリカとは違うのだ。

 性奴隷はいた、しかし違法だったから奴隷制は存在しない、というわけです。しかし「人身売買は戦前も違法」というのは「建前」というよりフィクションに近かったことは当ブログの読者の方ならご存知でしょう。さらに池田信夫は日本軍がつくった「慰安所」関連の規定などまともに調べたこともないので墓穴をほってしまっています。公娼制奴隷制ではないと言い張るための白々しいフィクションすら、日本軍「慰安所」は反故にしていたという事実です。

ともあれ池田信夫は、前借金による拘束で“売春”を強要することが「性奴隷」化であることは認めたわけです。日本軍「慰安所」制度がまさにそういう制度だったことをこいつが認める日はやってくるのでしょうか……。

 

 

「ポストモダン・リベラル」の真髄を見た!

-BuzzFeedNews 2019/08/14 「東浩紀があいちトリエンナーレのアドバイザー辞任へ 「“表現の自由vs検閲とテロ”は偽の問題

どこから批判すればよいのか迷うくらいの醜態ですが、ここでは東が「外交問題」やら「顧客の感情」やらをまるで自然発生した与件のように扱っていることを問題にしたいと思います。戦争(や植民地支配)の犠牲者を追悼する像など世界中にいくらでもあるのに、なぜ日本軍「慰安婦」犠牲者を追悼する像がこれほどの反応を引き起こすのかといえば、それはこの社会がとことん歴史修正主義に甘い社会であり、それどころかマスメディアは歴史修正主義に媚びるかのような報道を続けてきたからです。東「南京事件否定論にも場を与えよ」浩紀も言論人としてそうした事態に加担したひとりであって、その責任を棚上げして津田大介を批判するなど到底許されることではありません。

「ガメカルト」ツイッターアカウントのリスト(2019年7月20日現在)

@03repairman
@37325973
@705_6xyz
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@ann_ninn
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@coasmono_coacoa
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@D_concinna
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@EmuronRupin
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パクリ亀のブザマな言い訳とチープな恫喝

すでに法華狼さんが詳細に報告されているので蛇足ではありますが。

画像の盗用を指摘されてひねり出した言い訳がこれなんですが、

archive.is

第一に当該のツイートは「返事」じゃないし、どこからどう見ても「間を置かずに」投稿する必要のある内容じゃないし、おまけに「著作権の許容範囲内」でもなく、なんと最初から最後まで嘘だという体たらく。なぜここまで嘘を盛る必要があるのか……と考えてみたら、もともと嘘に嘘を重ねるのはガメの常套手段でした。「ゴボウデマ」について根拠となる「裁判記録」の実在性に疑義を唱えられると「岩川隆「神を信ぜず」立風書房(文庫はダメ)「末尾参考図書」に挙がっていると思うよ」と言い出した、あれです。「忘れた」とか「教えない」と突っぱねるだけでは不安だったんでしょうが、なにも『神を信ぜず』なんか持ち出さなくてもねぇw 古い本だから時間が稼げると思ったのでしょうが、調べればすぐにバレる嘘であるわけです(なぜかこのときは「寓話だ」という言い訳は思いつかなかったようで)。しかも「(文庫はだめ)」と無駄なディテールを足してそれらしく見せようという姑息さ。

ご存知のようにガメはその後告発者を恫喝にかかります。

archive.is

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むろん私からみればこんなのはただのチープなハッタリであるわけですが、この安っぽい手口もおなじみのものです。9年前にも「Apemanさんにとって致命的なことも含まれているので、事実関係そのものについては、ここにコメントとして書くわけにはいかない」なんてことを言ってましたし、同じコメントのなかで「わっしがむかし研究者として在籍したことのある大学の先生(たまたま歴史の先生、セイヨーシだが)」と権威に無駄に訴えかける手法も使っていました。当時の読者からガメが読者に「スパイリスト見ると怖いよ」などと吹き込んでいたことも暴露されています。自分を大きく見せるためにほのめかすのが公安的機関だというところに、ガメのパーソナリティが現れているのでしょう。

なおこの桜井誠チックな恫喝はさすがにまずいと思ったのかリカバーしようとしたガメ、「あのね。「問題移民」ちゅうのはアメリカやイギリスや日本からヘイトや差別を持ち込んでくる移民のことですね」とさらに嘘を重ねていました(笑) 嘘ついてないと死ぬのかな?

 

7月7・8日「盧溝橋」報道

先ほど調べた結果、「盧溝橋事件」に関する記事は日経新聞と、時事通信および時事から配信を受けたウェブニュースサイトの記事しか見つけることが出来ませんでした。そのいずれもが「新華社によると」という形式で独自取材はありません。内容的にはこれまたいずれも「最高指導部メンバーの出席は伝えられていない」「最高指導部メンバーの出席が見送られた」という“中国情勢”記事でしかありません。なお朝日新聞は中国人原爆犠牲者の追悼行事を伝える記事のなかで「追悼式は毎年、日中戦争の発端となった盧溝橋事件(1937年)の起きた7月7日に近い日曜日に開かれている」としているのが7日、8日の唯一の言及のようです。

それ以外に文春オンラインの連載「昭和の35大事件」が、1955年の『文藝春秋臨時増刊』に掲載された「昭和の35大事件」から、元大亜細亜協会理事中谷武世の手記を小池新氏による解説付きで掲載しています。手記は中国共産党謀略説を主張していますが、解説は「具体的な説明はなく」「一方からの解釈と見るべきだろう」と謀略説に懐疑的です。