東京大空襲関連記事

2日ほど遅れてしまいましたが、東京大空襲に関連した新聞記事で目に止まったものを備忘も兼ねてご紹介いたします。

-朝日新聞DIGITAL 2021年2月23日 「(私の視点)空襲被害者への援護 国会は「受忍論」と決別を 中山武敏」(archive

東京大空襲訴訟原告の弁護団庁、中山弁護士の寄稿です。

「受忍論」は直接的には日本国民の戦争被害の救済を阻んで来たわけですが、わたしたちがこの論理を乗り越える政権を生み出せなかったことの影響はもっと広範囲に及んでいると思います。他国の戦争被害者からの補償要求に応えようとする意見が多数派にならないのも、東電のように市民に甚大な被害を与えた企業が不誠実な態度を取り続けることが可能なのも、新型コロナ対策で政府が責任感にかける振る舞いを続けることができるのも、わたしたちが受忍論を「受忍」してきてしまったからではないか……と思えるのです。

 

-東京新聞 2021年3月6日 「【動画】孤児たちの闘い~東京大空襲~ 戦争孤児と関係者の証言集

1945年の3月10日、東京の下町一帯を火の海にした東京大空襲。そこで両親ら肉親を失い戦争孤児となりながらも生き抜いてきた方々に、当時の苦労やつらい思い出、そして後世に伝えていくべき貴重な証言をうかがいました。(インタビューは2019年1~2月)

8人の方のインタビューが公開されています。

 

-東京新聞 2021年3月10日 「東京大空襲の証言ビデオ 20年以上放置 300人超の証言が封印の恐れ 都平和祈念館計画凍結で」archive

東京都が記録した東京大空襲など戦争体験の証言ビデオ300本以上が倉庫に放置され、活用されない状態が20年以上続いている。当初展示予定だった「都平和祈念館(仮称)」の建設計画は凍結。都は別の方法での公開には「本人同意が必要」とする一方、意向確認は進めていない。10日で大空襲から76年。証言者が高齢化する中、「無責任」と批判の声が上がる。(岡本太)

 祈念館計画が頓挫した経緯は簡単にしか書かれていませんが、想像がつくように右派の横やりによるものです。妨害の中心にいたのは古賀俊昭土屋敬之、そして田代博嗣という3人の都議。そう、七生養護学校性教育実践にクレームをつけバッシングをした極右トリオです。右翼というのはアジア太平洋戦争のロンダリングのためなら同胞の戦争被害の継承のための事業など、後ろ足で砂をかけて平気な連中である、ということがよくわかります。

『中国戦線、ある日本人兵士の日記』

-小林太郎笠原十九司、吉田裕編・解説)『中国戦線、ある日本人兵士の日記 1937年8月〜1939年8月 侵略と加害の日常』、新日本出版社、2021年2月

bit.ly

2015年10月4日号の『しんぶん赤旗 日曜版』に「遺族が公開 虐殺生々しく 上等兵の日誌」と出して報じられた旧日本陸軍第16師団所属の兵士の日記が新日本出版社から刊行されました。笠原十九司氏による詳細な解説が付されており、日中戦争をミクロな視点とマクロな視点で学ぶことができます。さらに日記の主が撮影した写真やスケッチが収録されているのですが、編者の一人吉田裕氏による「あとがき」によれば「本人が撮影した多数の写真が残されていること、その写真がほぼ時系列に従って整理されている」という点で、数ある従軍日記の中でも「際立った特徴」を持つ、とされています。

内容については今後折に触れて紹介させていただくつもりでおります。

 

Fight for Justice緊急オンライン・セミナー

従来の歴史修正主義者の主張と比べて新味があるわけではなく、ただただ「ハーバード大教授」という肩書で右派の大きな期待を集めているラムザイヤーについて、Fight For Justice のオンライン・セミナーが開催されます。

fightforjustice.info

第32軍留守名簿に「慰安婦」

-沖縄タイムス 2021年1月7日 旧日本軍の司令部に「慰安婦」 沖縄大学の研究員、裏付ける資料を新たに発見

第32軍司令部の留守名簿に軍「慰安婦」と見られる女性が「特殊軍属」として記載されていたことが明らかになった、という今年はじめのニュースです。ちょっと気になるのが記事に引用されている発見者のコメントです。

 沖本さんは「この名簿から『慰安婦』を軍隊が紛れもなく管理していたことが分かる証拠になる。名簿の無い朝鮮人や沖縄関係の慰安婦もいる。32軍司令部の公開と合わせて研究が進んでくれたら」と話した。

 一般の読者に史料の意味を伝えるのが必ずしも容易でないのはわかりますが、これではあたかも「軍が「慰安婦」を管理していたか否か」がいまだに争点となっているかのように受け取られかねません。そのような地点はもう四半世紀も前に通り過ぎたはずです。

アインザッツグルッペンの一員だった父

AFPBB NEWS にこのような記事が掲載されていました。ニュルンベルク裁判の開廷から75年目となる日にあわせて掲載されたようです。

-2020年11月20日 「ナチスの「虐殺部隊」に所属…父の秘密と向き合うドイツ人女性

【11月20日 AFP】ドイツ人のバーバラ・ブリックス(Barbara Brix)さん(79)は、医師で歴史と文学を愛する父親を尊敬していた──生前、ナチス・ドイツ(Nazi)の「虐殺部隊」の一員だったと知るまでは。その事実を知ったのは、父親が死去してからだいぶたった後だった。

 

オーストラリア軍、報告書公表

アフガニスタンでの戦争犯罪疑惑に関する報告書をオーストラリア軍が公表したとのこと。

www.bbc.com

上の記事で見る限り、かなり明確に戦争犯罪として認定しているようです。