南京事件

よくある言いがかりについて―その2

東京裁判の判決については出典を省略し、秦郁彦氏の『南京事件』(中公新書)、笠原十九司氏の『南京事件』(岩波新書)については書名を省略してページ数のみを示します。

よくある言いがかりについて

先日次のような発言を引用しました。 @optical_frog 南京論争って関わるのアホらしい。だって「どの時期に起きたか」「どこの範囲で起きたか」「戦闘員・非戦闘員合わせて何名死亡したか」「うち国際法上完全アウト〜国際法上グレーの死亡者は何名か」「うち…

これが歴史修正主義的な欲望でなくてなんなの?

大塚 南京虐殺があると思っているんだったら、知識人であるはずの東がなぜそこをスルーするわけ?知識人としてのあなたは、そのことに対するきちんとしたテキストの解釈や、事実の配列をし得る地位や教養やバックボーンを持っているんじゃないの? 東 そんな…

つい最近の歴史を“修正”する言論人

ちなみに当時ぼくに向けられ、いま某ちくま新書でも繰り返されている批判は、「南京虐殺否定論の自由を’守る」という東浩紀の発言が曲解され、結果的に素朴な右翼に悪用される危険もあるのだから言葉を慎むべきだ、というものですが、これはもう単純に言葉狩…

非常識の極限にチャレンジする否定論者

まずはこの↓コメントをご覧ください。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100327/p2#c1269705638 読者の方々には改めて解説する必要もないことですが、要するに一つの出来事を記述する方法はいろいろあり、異なる論者が同じ出来事を異なる仕方で記述したからと…

否定論者の「はずがない」論法の実例、また一つ(追記あり)

だけど、どうして日本兵はリッグスの胸を痛打する必要があったのでしょうか?その理由が分かりません。これだと、いかにも日本兵だけが悪い様な印象を受けますが、何もしない相手を態々痛打なんてしませんよね? どうも変ですね。もし、答えられるのがあれば…

『ジョン・ラーベ』

先日注文した映画 John Rabe のDVDが思いのほか早く届きました。ドイツ語の台詞を英語字幕で読まねばならないこと、また英語で話される台詞には英語字幕がつかない(聴覚障害者のためのクローズド・キャプションはドイツ語だけで、英語字幕は英語話者向けと…

やっぱり……

マッカラム氏の日記にある「礼儀正しく、しかも尊敬して私どもを処遇してくれました、若干のたいへん愉快な日本人がありました」という記述を「(日本軍は)礼儀正しく、しかも尊敬して私どもを処遇してくれました。若干のたいへん愉快な日本人がありました…

「マッカラム日記」によるインチキ

http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100319/p1#c いやしかし、いまさら「ラーベの感謝状」なんて初歩的なインチキを装備して乗り込んでくる奴がいるとは。 当ブログでは多分とりあげたことのないインチキがコメント(引用)されているので、これだけはとりあげ…

「南京映画祭」(大阪)

毎日jp 2010年3月18日 「南京映画祭:映像で知る「虐殺」 大阪・中央区のエルおおさかで21日 /大阪」 南京大虐殺をテーマにした日本未公開のものを含む4本の映像作品上映やドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」監督のトークなどがある「南京映…

河村たかし、再び

コメント欄でpipisanさんが紹介してくださっていますが、さる2月の名古屋市議会で共産党のわしの恵子市議が歴史認識に関する河村市長の見解をただす質問をしています。南京事件については日中双方に証言者がいることを指摘し、さらには1月に公表された「日中…

日中歴史共同研究委員会、報告発表へ

YOMIURI ONLINE 2009年12月22日 「日中歴史共同研究、「南京事件」は両論併記へ」 日中両国の有識者による「日中歴史共同研究委員会」(日本側座長=北岡伸一・東大教授)が24日にも最終報告をまとめ、このうち「総論」を発表することが明らかになった。 …

12月13日

南京事件否定論者の定番の台詞の一つに、「“あった”派は勝手に事件の期間と空間的範囲を広げている」というものがあります。ところで、中国の研究者や法律家、政治家、あるいは生存者が南京事件について語っているのを聞いたり書かれたものを読んだりしたこ…

南京事件・証言集会(大阪)

asahi.com 2009年12月3日 「虐殺の光景、わが遺言 90歳元兵士「南京大虐殺」証言」(魚拓1ページ目、2ページ目、3ページ目) 紹介されている元水兵の三谷さんは、以前にNEWS23にも登場して目撃したことを語っていた人です。テレビではたしか「駆逐艦」に乗…

南京事件に関する映画の上映会

すでにいくつかのブログで告知されていますが、なるべく多くの方の目に留まるようにこちらでも。 12月13日(日)に東京・世田谷区区民会館ホールにて南京事件に関する映画の上映会が開催されます。上映される作品は『南京』(ビル・グッテンタグ監督)、『ア…

武田倫和監督インタビュー

関連エントリ http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090923/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20091019/p1 映画『南京 引き裂かれた記憶』の監督武田倫氏のインタビューが10月30日号の『週刊 金曜日』に掲載されています。先日とりあげた朝日の「ひと」欄と似た趣…

補足

9月に「罪責感をめぐって」というエントリを書いた際に次のように記しておいた。 先日読んだ本でも著者は中国戦線に従軍した父親のそうした表現が執筆の契機であったという趣旨のことを述べていた。 そして注として「ところがそれがどの本だったか、思いだせ…

ちと誤解があるような・・・

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Apeman/20091011/p1 hit-and-run クリシェで逃げたんでしょう。論争に巻き込まれたくないから。 2009/10/11 (・・・) morimori_68 歴史 全国紙で研究者はどこまで旗幟を鮮明にすべきかという問題では/世渡りを考…

朝日新聞「昭和史再訪」(追記あり)

朝日新聞の毎土曜日夕刊に掲載されているシリーズ「昭和史再訪」、10月10日分は南京事件を取り上げている。専門家のコメントとしては加藤陽子氏のものが。現役兵中心の部隊が対ソ戦をにらんで温存され予備役、後備役の兵が多く召集されたこと、重い背嚢を担…

罪責感をめぐって

どこから、どのような経緯で転載されているのかがはっきりしないため言及するのは差し控えようと思っていたのだが、映画『南京!南京!』が日本公開されるらしいという情報が伝わってきたこと、また本館で扱っているテーマとも密接に関わる事柄であるので、…

『南京!南京!』日本公開か?

http://www.cinematoday.jp/page/N0019790

抜刀隊について

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090917/1253158517 明治10年の西南の役*1に際して、「警視庁抜刀隊」が組織され、多くの旧会津藩士及びその子弟が志願した。 実は西南戦争時の抜刀隊の件についてはいずれきちんと調べておきたいと思っていた。もちろん、…

河村たかし発言、続報

前回のエントリのコメント欄で pipisan さんが問題の発言の書き起こしを投稿して下さっています。動画はこちらから閲覧することができます。 発言そのものについてコメントする前に、まずは質問者としてこの答弁を引き出した東郷哲也市議(自民)について。2…

河村たかしメソッドとは

コメント欄でpipisanさんにご教示を受けたので調べてみたところ・・・ 毎日jp 毎日新聞 2009年9月15日 「河村・名古屋市長:南京大虐殺「誤解ある」 議会で発言」 どのような脈絡での発言なのかは追って調べておきたいと思います。 例によって陳腐な否定論なの…

今度は学習塾に街宣だそうな

「主権回復を目指す会 掲示板」の2009/07/09 20:00の投稿。 抗議街宣 <全教材を破棄せよ!栄光ゼミナールを店終いに追い込もう!!> <授業が「南京大虐殺」に「慰安婦強制連行」の丸暗記> 小・中学生七万人へ猛毒(虐日史観)を注入する栄光ゼミナール …

「実践的なナラトロジー」について

http://d.hatena.ne.jp/tukinoha/20090603/p1「実践的なナラトロジー」に対する関心は必要だろう、ということ自体については異議はないんですが。例えば私は捕虜の殺害をめぐる議論の焦点を「違法性/合法性」ではなく、「無抵抗の(しかもしばしば後ろ手に…

念為

Sigma 南京事件肯定論者こそ資料を見せても無駄、とか思ってただけに、否定論者にもこの手の人がいるんだなぁ、と、がっくり /幕府山他の捕虜虐殺と、南京市内の市民虐殺をごっちゃにしてる人、いないよね? 2009/06/11 (http://b.hatena.ne.jp/entry/http:…

南京事件否定論者に「資料を見せて」も無駄な理由

よく“南京事件が史実なら証拠になる資料を提示すればすむことじゃないか”と気軽に言って下さる方がいるわけですが、そういう人々は南京事件否定論者(あるいは一般に歴史修正主義者)がどんな人間であるかを知らないんですね。 http://b.hatena.ne.jp/entry/…

求む「為にする議論が目的の人につける薬」

昨日の続きです。 こういうサイトを運営しているといろいろと「質問」をコメントされる方がおられるわけですが、そういう人が「新たに興味をもったばかりで、手がかりをもとめてたまたまここにたどり着いた」のか、それともあわよくば揚げ足でもとってやろう…

よそでやれ、って言われたんで

「私はこの問題に深入りしません。浅い程度で読める代物を心がけて書きました」などという性根でもって首を突っ込んでおいて「超要約・俺頑張ってこのエントリ書いたんで、できれば読んでください」などと虫のいいことを言っているブログ主に対してはなにを…