1945年のヴェトナム反戦運動

現在半分ほどまで読み進んでいる『ベトナム戦争アメリカ』(白井洋子、刀水書房)で紹介されているはなし。
アメリカではヴェトナム戦争が「いつ始まったか」に関して諸説があるが、その一つに「1945年から」というものがある。なぜかと言えば、1945年10月、インドシナの植民地復活を目論むフランスの将兵1万3千人をサイゴンまで運んだのがアメリカの商船隊だったから、である。興味深いのは、この商船隊の乗組員たちが植民地主義への加担であるとして抗議行動を起こしているという事実。ペイショー・ビクトリー号の乗組員88人はワシントンの輸送司令部に抗議の書簡を送った。ウィンチェスター・ビクトリー号の乗組員はトルーマンとロバート・ワグナー上院議員に抗議の電信を送った。さらにサイゴン到着後、4隻の輸送船の乗組員たちが集会を開き、フランスに協力したアメリカ政府を非難する声明を決議した。
これほどに「旧世界」の植民地主義に敏感な意識を持つアメリカ人が、ではなぜヴェトナム戦争の泥沼にはまり込むことになったのか…というあたりはまた改めて。