コメント補完

たけぞーさんとおっしゃる方のブログにコメントさせていただきお返事も頂戴したのですが、その後コメントが書き込めなくなっています。私の「ご意見」をお尋ねだったのでお返事させていただき、その後投稿したコメントが表示されない旨コメントしたのですが、やはり表示されません。事情はよくわかりませんが、とにかく私の意見を尋ねられた以上、放置するわけにもいきませんからこのエントリで回答に代えさせていただきます(最初にコメントしたものと内容は同じではありません)。

まず、エンジニアの考えからすると、「推測する」や伝聞は、物事を考える上で根拠となりません。
目撃やデータが物事を考える上での根拠となります。
そこで、考えてみますと、南京事件に関して言えば、推測や伝聞が多く、データや「数十万の死体を目撃した」という史料がありません。
つまり、根拠が無いので「事件があった」とは断定できないと言うことです。
(前述しましたが、エンジニア的発想です。)
幾つかの強姦や強盗はあったかもしれません。そこまで言うつもりはありません。
私が言っているのは俗に言う「南京大虐殺」のことです。
とても、大虐殺があったとは思えません。
また、たしかに処刑に関しては日本軍や南京在住の欧米人の記録は残っていません。
しかし、ルイス・マイナスの「安全地帯記録輯」事例185に「我々には日本軍の合法的な処刑について抗議する権利はない」とあるように、日本軍の処刑が合法的であったとしています。
ま、いずれにしても、「数十万もの大虐殺があったという証拠は無い」と言えるはずです。

私はエンジニアではないので「エンジニアの考え」がどういうものである(べき)かについて云々する資格はないのですが、まず「エンジニアって、そんなに窮屈なものなのかな?」と思いました。よい意味で「使えるものは巧みに使う」のがエンジニアだと思っていましたので。それはさておき、いま問題になっているのは工学上の問題ではなく、歴史(学)上の問題です。歴史学から「推測」と「伝聞」をとりあげてしまったら、たかだか数十年前のできごとしか扱えなくなってしまうんじゃないでしょうか? また、現在でも事件の関係者はわずかながら生存しており、刑事裁判で言うところの「伝聞」ではない証言だって存在しています。「大虐殺があったとは思えません」は「推測」ではないのでしょうか? 南京事件論争は裁判ではないのですから、「大虐殺はなかった」と主張するなら積極的にその根拠を示す必要があるはずです。

「たしかに処刑に関しては日本軍や南京在住の欧米人の記録は残っていません」は「残っています」の間違いではないでしょうか? 私は「処刑」の「記録」の例として日本軍の戦闘詳報を挙げたのですから。「ルイス・マイナス」というのはルイス・スマイスのことですよね? 「安全地帯記録輯」事例185とは次のものを指すということでよろしいですか?

第一八五件 
 一月九日朝、クレーガー氏とハッツ氏は、安全区内の山西路にある中央庚款大廈(The Sino-British Boxer Indemnity Building)の真東にある池で、日本軍将校一名と日本兵一名が平服の一市民を虐殺するのを目撃した。クレーガー氏とハッツ氏が現場に着いた時には、男は割れた氷がゆれ動く池の水に腰までつかって立っていた。将校が命令を下すと、兵士は土嚢の後に伏せて、男に向けて発砲し、男の肩に弾丸があたった。再度発砲したが弾は外れ、第三弾で男は死亡した(1)。(クレーガー、ハッツ)


(1)われわれは、日本軍による合法的な死刑執行にたいして何ら抗議する権利はないが、これがあまりにも非能率的で残虐なやり方でおこなわれていることは確かである。そのうえ、このようなやり方は、われわれが日本大使館員たちと個人的に話し合ったさいに何回も言ったような問題をひきおこすのである。つまり、安全区内の池で人を殺すことは池の水をだいなしにするし、そのため、地区内の人々にたいする給水量が大幅に減少するのである。このように乾燥が続いており、水道の復旧が遅れているさいに、これはきわめて重大なことである。市による水の配給は非常に手間どっている。(報告者注)
(「南京大残虐事件資料集 第2巻」、114〜115頁。http://www.geocities.jp/yu77799/49nin.html より)

「日本軍による合法的な死刑執行にたいして何ら抗議する権利はない」は「日本軍による死刑執行はすべて合法的である」を含意しません。ここで目撃されているのは処刑のプロセスだけですから、それに先立ってどのような法的手続きがとられたかを目撃者および報告者は知らないわけです。なのに「合法的な処刑だった」と判断できるはずがありません。「合法的な処刑だったとしたら、そのことについて抗議する権利はないが、それにしても残虐なやり方だ」と読むのが正しいと思います。


最後に私の「考え」ですが、「大虐殺と呼んでなんら不思議でない規模の殺害、強姦、略奪などがあった」という考えです。