またしてもカジュアル否定論

グッテンタグ監督による「南京事件」映画制作の報道に続いて、生存者の来日証言集会についての報道があったのをうけてまたしても「カジュアル否定論」エントリがあちこちで立てられている。例によって南京事件に関してもっとも基本的な事実関係すら知らずに書かれているものばかりだ。私自身、数年前まで南京事件については通り一遍のことしか知らなかったのだから、無知それ自体を責める資格は私にもない。しかしお気楽な話題ならともかく、万、十万のオーダーで人間が殺害されたとされている事件についてろくに調べもしないまま否定論を開陳してしまえる神経がわからない。ネットのあやふやな情報をもとに「さくらちゃんを救う会」の活動について誹謗中傷が繰り広げられたケースとまさに同じメンタリティだ。南京事件や「救う会」の活動について怪しいところがあるという信念が仮に主観的には真摯なものだとしても、事柄の重大さを考えれば、「もし自分が間違っていたら、自分がやっているのは一体どういうことなのか?」に思いをめぐらしてさえいれば、あのような書き方は絶対にできないはずだと思うのだが。
先日、交通事故死した児童らの写真をホームページに掲載していた教諭がマスコミで話題になったが、2003年には交通事故で高校生を死亡させた当人が被害者遺族を中傷する投稿をネットの掲示板で行なったとして、実刑判決を受けるという事件が起こっている。生存者の証言活動を誹謗する人々は、せめて「もしオレがまちがっていたら、オレがやっているのはこの犯人と同じことだということになる」という自覚くらいは持ってもらいたいものである。