それにしても…

「ネット保守派論壇」とか一部マスメディアとか一部国会議員(閣僚含む)は「商行為だった」とか「便衣兵の即決処刑は国際法上違法ではなく、それに付随して市民の巻き添えもあったにしてもやむを得ず違法ではない、捕獲兵士の殺害についてさえ、軍事的必要から許され得る」という言い分さえ通ればそれですべて終りと考えているわけだが、本当の問題点は「白馬事件」を無視しているとか旧軍資料を無視するといった詭弁よりも、こうした人権感覚にあるのではないだろうか。百万歩譲って慰安所でおこなわれていたのが純然たる「商行為」であり、南京における便衣兵、民間人、捕虜の殺害が違法ではなかったとしよう。たしかに「商行為だ」「違法ではない」という口実で国家(軍)が人権侵害をおこなうのは旧日本軍に限ったことではない。近年なら事実上の傭兵の抜け道としての民間軍事会社とか「愛国法」などが思い浮かぶ。だが問題は、「商行為」「違法ではない」というみかけでもってこれらを看過するのか、それとも現実においてどのような人権がどのように侵害されたのかにこそ目を向けるのか、であろう。