姑息だ…

昨晩の午後9時半すぎのコメントで、池田氏は主張を微妙に後退させている。

正確にいうと、慰安婦東京裁判で検察側の当初あげた55の訴因にも入っていません。しかし証拠採用されたということは、少なくとも検察団は事実を検討した結果、起訴しなかったということです。それはおそらく、この種の強姦事件の責任を軍中央に問うのは無理だと考えたからでしょう。

「正確にいうと」…。「起訴されて無罪になった」と「訴因にも入っていません」とは法的には全く異なる事態なのであって、前者を「正確にいうと」後者になる、とは到底言えませんなぁ。後者を知っていて前者を書いたなら、デマゴーグと言わざるを得ない。それとも、池田氏にとってはこの程度の歪曲は許容範囲のうちということなのか。だったら大本営レベルか部隊長レベルかの違いなんて、どうでもよさそうに思えますが。だいたい、部隊長の命令でも「下級のものは上官の命を承ること実は直に朕が命を承る義なりと心得よ」ですからね。大日本帝国天皇の名において、つまりは組織的に、不当な命令を拒否する権利を軍人から奪ったわけです。
それから、「おそらく(…)でしょう」なんて憶測ですませずに、近年の東京裁判研究を読むなり、それがいやなら自分で裁判関係者が残した文書でも分析したらどうですか。そもそも「軍中央」のなかの中央、すなわち大元帥の責任は最初から問わないことに決まっていた(オーストラリアは反発したけど)、というのは現代史の常識だし、皇族の参謀総長軍令部総長だってノータッチですよ。他方、南京事件だって大本営が捕虜殺害や掠奪、強姦を命令したわけじゃないけど、軍司令官と外務大臣が責任を問われている。大本営の責任が問われていないからこれも「国家犯罪」じゃない、というのかな? そうれば、南京事件否定論まであと半歩、ですな。