東京大空襲訴訟、審理開始

被災者、遺族ら112人が国に賠償を求めた訴訟の審理が今日始まった。夕方のTVニュースで報道されていたように、東京大空襲の犠牲者についても正確なことは判明していない。取材に答えていた原告の一人は母と祖父が「消息不明」となっている。犠牲者の数も、犠牲の様態も不明にしてしまうことこそ大量虐殺の本質というべきであって、細部が不明であることを理由に虐殺を否認するのは倒錯というものである。
犠牲者数推定に大きな幅があることで知られるもう一つの大量虐殺がドレスデン爆撃。見積もりを困難にしている理由の一つが、市外から流入していたとされる避難民の存在である点は南京事件と共通している。この爆撃を題材とした映画『ドレスデン、運命の日』が日本でも公開される(東京では上映中、他地域は6月以降のところが多い)。


ドレスデンと言えば瓦礫を極力利用して聖母教会などを再建したというエピソードが知られているが、こうした努力と対比した場合に日本は自国の被害についても冷淡だったと言えないだろうか。東京都慰霊堂そばにある復興記念館を一度だけ訪れたことがあるのだが、関東大震災関連の展示と比べても東京大空襲関連のそれはいかにもおざなりで、そのあまりにもおざなりなさまに涙が出そうになった。