昨日の収穫

古書店にて。集英社の『昭和戦争文学全集 3 果てしなき中国戦線』、堀田善衛の『時間』を収録。1953年から『世界』に連載され55年に単行本化。一人の中国人を主人公とし、彼の目を通して陥落前後の南京を描いたもの。解説によれば約3分の2ほどに縮めた抄録である。まだざっとながめてみた程度だが、被害にあった家屋の写真を撮ってまわっている「マクギーとか、マギーとかいう米人」と主人公が出会う場面があるなど、よく調査して描かれている。
畠山清行の『東京兵団 I 胎動篇』(光風社)は以前からこの巻だけバラで出ていたのを把握していて迷っていたのだが、まあいずれ他の巻に出会うこともあろうかと思って購入。II巻以降では上海での第101師団の苦戦の様子が描かれていて、第101師団長の日記とあわせ読むのにうってつけなのだが。ただこの巻、陽高事件について触れた数少ない文献の一つで、ゆうさんの「南京事件 小さな資料集」でも紹介されている。
松木謙治郎著、『阪神タイガース 松木一等兵の沖縄捕虜記』はタイトルが示す通り、戦前のタイガースの中心選手、監督だった松木謙治郎沖縄戦従軍記、特に9ヶ月間の捕虜生活を描いたもの。かなり簡潔にではあるが沖縄の住民が被った被害にも一章が割かれている。