「戦争の日本史」シリーズ

16日のエントリのコメント欄でも話題になった、吉川弘文館の「戦争の日本史」シリーズ全23巻のうち、22巻『満州事変から日中全面戦争へ』(伊香俊哉)、第23巻『アジア・太平洋戦争』(吉田裕・森茂樹)が日中戦争を扱っています。それぞれの目次は以下の通り。

戦争へのまなざし―プロローグ
I 満州事変(柳条湖事件/幣原外交の終焉/「満州国」樹立と国際連盟脱退/戦争支持と社会の再編)/
II 華北分離工作から日中戦争へ(華北分離工作/日中全面戦争の開始)/
III 戦争違法化体制と日本の中国侵略(戦争違法化体制/満州事変と国際法日中戦争国際法)/
IV 戦争犯罪と支配の諸相(戦時国際法南京大虐殺/無差別爆撃/細菌戦・毒ガス戦・アヘン政策/性暴力/治安戦と三光作戦/日本支配下の諸相
V 戦場の兵士と戦死(戦場の兵士たち/日本人の反戦運動/出征と遺骨)/
VI 「泥沼化」から「南進」へ /
戦死者をめぐって―エピローグ

日本人の戦争認識―プロローグ*/
I アジア・太平洋戦争の開幕(アジア・太平洋戦争を俯瞰する/開戦決定と日本の戦争指導体制/交渉打ち切りと開戦にともなう混乱)/
II* 日本軍の特質(開戦時の日本の戦力/陸軍の作戦思想/海軍の作戦思想/軍事官僚機構の特質)/
III 緒戦の勝利と蹉跌(南方作戦/海軍の対米作戦/米豪遮断とミッドウェー攻略作戦)/
IV 戦局の転換(連合軍の反抗とガダルカナル島をめぐる攻防/ニューギニアの戦闘と国力の消耗/戦争指導体制の問題点)/
V アジアの戦線と「大東亜共栄圏」(日本にとってのアジア/中国の戦線)/
VI* 銃後の諸相/
VII* 絶対国防圏の崩壊から絶望的抗戦へ(絶対国防圏の崩壊/戦場における死)/
VIII 降伏とその後(降伏への道/ポツダム宣言の受諾から復員まで)/
「記憶」の時代へ―エピローグ*

後者のうち「*」を付したのが吉田裕担当分の章。
この種のシリーズは執筆担当者の専門性を活かしつつも基本的にはその時点での通説を押さえてゆくことが求められていると言えるだろう。自宅には主として80年代に書かれたこの種の通史が何種類かあるので、比較してみると興味深いだろうなと思うが、まあ時間ができたらということで。