否定論者のヘイトスピーチを考える

参考
http://d.hatena.ne.jp/bluefox014/20080110/p1


私はブログの「本館」の方で「人権擁護法反対運動」批判をやった時から、「在日」だの「層化」だの「工作員」だの「中国の手先」だのおよそ変わり映えのしない「罵言」を、数え切れないくらい投げかけられてきた。「南京の真実 情報交換掲示板」にいけば手軽にその実例を見ることができる。青狐さんがとりあげたブログでも、少しさかのぼれば大量に実例が残っている。さて、その度にとまどうのは、「彼らはいったどんなリアクションを私に期待しているのか?」である。罵言というのは相手の心にダメージを与えないと意味がないわけである。基本的には相手を怒らせるために使われるものだろう。しかしこれをお読みの方の多くもそうだろうと思うが、「お前朝鮮人か!」と言われて私が逆上し、「違うわ! 日本人じゃ!」なんて言い返すことはありえないわけである。そりゃもちろん、税関で「お前は韓国人か?」と聞かれたら「日本人だ」と答えるけどさ(笑) 最初に「罵言」に「 」をつけておいたのもそのためで、ウヨさんたちが一生懸命工夫を凝らして思いつくフレーズというのはちっともこちらのハートに突き刺さってこないのである。


これは私が常々「否定派の言う情報戦は単なる情報戦ごっこ」と指摘していることと実は軌を一にしている。「相手が受けいれるであろうロジックを組み立てられないこと」と「相手にダメージを与える罵倒を行なえないこと」は同じ問題の別の現われにすぎない、と。要するに彼らは「自分が言われたら嫌」なフレーズを書き付けているにすぎない。否定論批判を行なうような人間が「なにを言われたら嫌か」なんてことは考えようともしないのである。だとすれば「自分の主張が欧米人にも受入れ可能なものかどうか」なんてことに考えが及ぶはずがない。どちらも、ものごとをひたすら自分のパースペクティヴからしか考えられないことの帰結なのである。


例えば上で言及した「南京の真実 情報交換掲示板」。そこでヘイトスピーチを垂れ流しているのは「10人のうち一番アホな1人」だから否定派全体とは関係ない? しかしあそこは映画製作への支援をよびかける一種の公式サイトであり、映画「南京の真実」製作委員会のコピーライトがページ末に表示されているサイトに設置された掲示板である。当然、掲示板の管理も製作委員会のスタッフが行なっているのであろう。掲示板の「利用注意事項」には「一度皆さまの書き込みを確認させていただいた後、公開させていただくシステム」であり「他者への誹謗、中傷、脅迫、罵倒するもの」は「予告無しにその書き込みを公開せず、削除」するとあるにもかかわらずあの手の発言(最近の例だと、例えば「卑怯なりApeman氏!、シナなり朝鮮へ帰るべし!!」とか)が放し飼いにされているということは、製作委員会がオッケーを出したも同然であるわけだ。これは「国際的な情報戦」という観点からは致命的とも言うべきであり、「ああお前らは皇軍の轍を踏むのか」と思わざるを得ないわけ。負けるべくして負けるのね、と。自滅してくれるのはありがたいんですがね。