「プレミアム10 80歳の決着〜元兵士たちの日米野球〜」

フロリダにある75歳以上を入団資格とする野球チーム(平均年齢80歳)、Kids&Kubs に所属する退役軍人たちの発案で昨年ハワイで開催された「日米スーパーシニア親善野球大会」についてのNHKのドキュメンタリー(22日午後10時から)。こういう企画に参加する人々だけあってみなおどろくほど元気なじいさまばかりだというのがまずは目につくが、もちろんそれ以上に共通しているのは、人生の終わりを迎えて戦争の記憶に区切りをつけたいという強い意志である。こうした「和解」のためのさまざまな試みについての報告を見聞すると、一般に軍人同士では(特に連合軍側の兵士に捕虜体験がなければ)相互理解に程度はともあれ成功するケースが多いように思う。それには国境を越えて成立するホモソーシャルな関係性が一役買っているだろう。一緒に野球をやって和解、という発想自体がそうした関係性に由来するものだと言ってもよいかもしれない。その限りでこうした事例のもつ可能性を過大視せぬよう留意する必要はある。しかしゲームを終えてハワイから帰宅した晩に亡くなった(不謹慎ながらできすぎたようなはなしだが)元米兵が、空港からの帰路何度も何度も語ったという "Everything went perfect" ということばには否定できないリアリティがあるだろう。