『靖国』李纓監督インタビュー

コメント欄でホドロフスキさんが指摘されていたように、本日発売の雑誌『映画秘宝』08年5月号に映画『靖国』の監督李纓氏へのインタビューが掲載されています(78-79ページ、インタビュアー:藤木TDC)。冒頭、試写を観たとおぼしきインタビュアーが「すごく面白かった」という感想に続けて「エキセントリックなアクティヴィスト(活動家)がたくさん登場して暴れ回るので、若者も面白く観られると思います」とか「奥崎謙三を連想させる人が多勢出てきます」と語っているあたりは秘宝テイスト。
李氏の靖国神社認識は「日本の近現代史の膨大なメモリーです」という言葉に集約されている。また、右派が本作を「反日映画」と決めつけている点に関連して重要なことだが、1989年に来日して皿洗いや運送会社勤務を続け、1999年にようやく最初の作品を完成させた…という経歴も語られている。常識的に考えればわかることだが、単純な「反日映画」を作ろうとするような人間が19年間も日本には住めないですよ、ふつうは。また、作品の中心的なモチーフとなっているのが靖国神社の刀匠とのことなので、右派が問題にしている「南京事件の写真」というのはひょっとしたら「百人斬り」の両少尉の写真か、あるいはいわゆる「斬首写真」の類いなのかもしれない。
発売中の雑誌なのでこれ以上の詳しい紹介は避けるが、なかなか興味深いので(映画をなるべく予備知識なしで観ようという方以外には)ご一読をお勧めします。