BRCがNHKの「放送倫理」違反を指摘

「放送と人権等権利に関する委員会」(以下BRC)は、VAWW-NET「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)対NHKの損害賠償請求訴訟の高裁判決についてのNHKの報道(「ニュースウオッチ9」)について、VAWW-NETの共同代表西野留美子、東海林路得子両氏からの申し立てを受け、今日6月10日に「放送倫理違反」があったなどとする決定を下した。委員会の決定全文はこちら
「結論と措置」は以下の通り。

 以上のとおり、本委員会は、本件放送によって公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被ったとする申立人らの主張には、十分な理由があるものと判断する。被申立人に放送番組編集の自由が認められることはいうまでもなく、その自由は十分に尊重されなければならないものであるが、その点を考慮したとしても、本件放送は、意見が対立している裁判の判決を報じるものであり、かつ、被申立人自身が当該裁判における一方の当事者であったという特殊性を考慮すると、本件放送において裁判で対立する相手方である申立人らの意見に一切触れることなく、自らの解釈だけを報じたことは、申立人らに対して公平・公正を欠き、放送倫理違反があったといわざるを得ない。
 ただし、視聴者に朝日新聞の報道内容の是非が審理されたかのような誤解を与えたという点については、一般の視聴者にそのような誤解を与えるものではなかったと判断でき、また、高裁判決の内容を誤って伝えているとの申立人らの主張については、判決の解釈の問題であり、被申立人が本件放送の中で行った判決の説明が誤りであったとまではいえないものであるから、申立人らが求めている訂正放送および「真摯に反省する番組の制作と放送」を認める必要はないものと判断する。
 また、以上のごとき認定事実をふまえると、謝罪まで認める必要もないと判断する。
 したがって、本委員会は、被申立人に対し、本決定の主旨を放送するとともに、今後は、放送における公平・公正に十分に留意し、意見が対立している問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにするよう、さらに十分な配慮をするよう要望する。


まあ個人的には、訴訟の当事者に公平な報道を期待する人間なんていない、みんな割り引いて観るもんだろと思うが、同時に「どうせつっこまれるに決まってんのにねぇ」とNHKの大人げなさに失笑。
なお明後日6月12日には最高裁判決がくだされるので、その際のNHKの報道っぷりも見ものだが、映画『靖国』をめぐって刀匠をダシにあれこれ言っていた人々の反応もチェックせねば。