- 田中利幸、『空の戦争史』、講談社現代新書
「講談社BOOK倶楽部」に掲載の目次は以下の通り。どうでもいいはなしだが、刊行直後なのにもう「在庫僅少」となっているのは、講談社が直販するために確保している在庫があまり多くない、という意味だろうか?
第1章 第一次大戦ではじまった無差別爆撃
気球からの空爆/飛行機と飛行船の登場/積極的なドイツ、消極的なイギリス
ツェッペリン飛行船基地を狙う/一般市民が犠牲に etc.
第2章 イギリスでの無差別爆撃思想
戦略爆撃の体系化/大戦後のイギリス空軍/空爆の有効性
イラクでの空爆活動拡大の要求/「航空警察活動」の正当化 etc.
第3章 アメリカと空爆
第一次大戦でのアメリカの経験/アメリカ空軍と「精密爆弾」
ミッチェルの航空戦力拡大闘争/日本への関心/パイロットの英雄化 etc.
第4章 第二次世界大戦下のヨーロッパ
ワルシャワ空爆/ドイツ軍によるイギリス爆撃
イギリス軍による報復爆撃とハリス元帥の司令官着任/ゴモラ作戦
ドレスデン空爆/チャーチルの態度の変化/アメリカ陸軍航空軍の「信念」 etc.
第5章 日本空爆と原爆投下
「隣組」政策/米軍の日本空爆計画/B-29の登場/本格化する日本本土空襲
昼間精密爆撃から低高度夜間爆撃へ/英米合同爆撃計画/広島、長崎への原爆投下 etc.
一覧してわかる通り、第一次大戦における空爆の記述にかなりのスペースが割かれているが、第二次世界大戦における空爆についてはこれまでも日本語で読める多くの文献があっただけに、このような構成でこそ新たに学べることは多い。規模の面では後の空爆には及ばないとはいえ、「思想」の面では航空機の実用化から間もないうちに一通りのものが出そろっているのが非常に興味深い。