乗りかかった舟なので
てんこもり先生は英文コメントを新しいエントリのコメント欄と古い方のエントリのコメント欄の双方にダブルポストして、「我健在ナリ」とアピールしています。で、英語で反論しろ、と(笑) こっちにとってのコストを引き上げて手を引かせよう、かつ自分の読者に「オレの方が英語できるぜ」とアピールするという作戦のようです。ところがご要望に答えようとするとなぜか error が発生してコメントできないので「コメント容量の制限に引っかかったのか?」と思ったらそうでもないようです。連投規制でもなさそうだし。とにかく短いコメントしか通らない。まあいつまでやってもあのブログのコメント欄で「そうか、俺たちが間違ってたんだ!」なんて展開にはなりそうにないので、一定の収穫もあったことだし放置してもいいんですが、まあ私も意地っ張りなので(笑) 英語の添削もあわせてやっていくことにしましょう。
http://antikimchi.seesaa.net/article/103357302.html#comment
What Apeman does not realise is that this type of sentence structure used in gossip columns require *2,*3 and *4 to have a common factor which in this case is "the entertainment media" to give it its desired "announcement effect."
これはダメですねぇ。これだと「この場合“娯楽メディア”であるところの共通の要因をもたねばならない」になってしまいます ( the factor is "the entertainment media")。映画『パールハーバー』ほかが「メディア」だってことになっちゃう(笑) 「メディア」というのはマンガ、映画、書籍・・・といったカテゴリーをさすのであって、『パールハーバー』や『レイプ・オブ・ナンキン』は個別の作品です。初歩的なカテゴリー・ミステイク。おまけに防衛省が刊行した広報漫画も『レイプ・オブ・南京』も「エンターテインメント」扱い! 前者は政府公報(ないしプロパガンダ)、後者はジャーナリズムですからね。
Now let's replace the word Matsuzaka with say Sony Playstation which also comes from "the Land of the rising Sun."
The sentence becomes,
"From the Land of the Rising Sun that gave us Nomo and Ichiro now comes Sony Playstation."
In this example the "annoucement effect" that existed in the first example is lost, as Nomo and Ichiro do not desirably set the stage for the annoucement of Sony Playstation.
Thus without the desired announcement effect, there is no point in using this type of sentence structure and the sentence will not be written this way.
これが為にする議論でなく本気で信じてるんだとすると、生兵法のレトリック論でつまずいちゃった、ってことでしょう。その前に細かいことだけど、野茂やイチローの大リーグ入りはプレステよりも後だろうが!
てんこもり君が自己愛ゆえに見落としているのは、レトリックの多様性です。「○○と××の国から、今度は△△がやってきた」というパターンの表現において、△△が野球選手なら○○と××もそう、△△が著作物なら○○と××もそうでないといけない、なんて制約はありません。例えば「プレステとウォークマンの国からイチローがやってきた」なら日本のハイテク製品からの連想によりイチローの技術の精巧さを印象づけることができます。「プレステとウォークマンの国からスモウレスラーがやってきた」ならば、「小さい、精巧」といった日本のイメージとのコントラストで関取の大きさ・強さを印象づけることができます。このように、△△と○○、××とは同じカテゴリーに属する事物である必要はなく、また類似性だけでなく対比によってもレトリカルな効果は達成できるのです。
さらにいえば、「共通点をもつ」とか「同じカテゴリーに属する」というのは、そもそも相対的にしか言えないことです。すべての存在者は存在者である限りに置いて「共通点をもつ」ことになりますし、出来事を存在者とする存在論を採用すれば真珠湾攻撃も防衛省の漫画も同じく存在者だ、ということになります。逆に『パールハーバー』は映画、『レイプ・オブ・南京』は書籍、『平和の国のネヴァーランド』(だっけ?)は漫画…と全部違うカテゴリーに属しています。「著作物」というカテゴリーを特権化する理由など全くありません。
順番は前後しますが、彼が調子に乗って追い討ちをかける(フリをする)つもりで列挙してダメだしした事例を検討してみましょう。
From the country that gave us Nomo and Ichiro now comes Instant Ramen!
コレもダメ
From the company that gave us Playstation and Walkman now comes Mr.Suzuki, the new president!
やっぱコレもダメダメ
From the band that gave us "WholelottaLove" and "Stairway to Heaven" now comes Gibson Jimmy Page Les Paul Model!
コレもダメダメですね・・・
この手の特殊な文章構成は日本の学校で習った英語じゃわからんだろうね。
たしかに日本の学校で英語を習っても、インスタントラーメンの方がイチローや野茂の大リーグデビューより古い、ってことはわからんでしょうな(爆) まあそれはおくとして、「想定される読者にとって日本と言えば野茂、イチローというイメージが圧倒的であり、そこに新たにインスタントラーメンが登場した」という前提が成立するなら、"From the country that gave us Nomo and Ichiro now comes Instant Ramen!" は立派に機能します。「フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリの国からインスタント・ラーメンがやってきた」、いけるじゃないですか。
日本には大統領がいないので二つ目はちょっと意味不明ですが、カリスマ性のあるソニーの新社長が訪米、って文脈ならちゃんと意味が通じますね(笑) そういえばフランス大統領にトランジスタラジオのセールスマンと評された日本の首相もいましたから、「プレステとウォークマンの国、日本から鈴木新首相がやってきた」(ちなみに鈴木善幸首相の在任期間には既にウォークマンはありましたが、プレステはもちろんありませんでした)ならいかにも下世話な記事っぽいじゃないですか! まさか「川端康成と湯川秀樹の国から鈴木新首相がやってきた」とか「吉田茂と岸信介の国から鈴木新首相がやってきた」でなければゴシップ記事の文章にならない、とでも言うんでしょうか(笑)
3つ目はもう「アホか?」としか言いようがない。ツェッペリンがなんでギブソンのギターを造ってんだよ! 『胸いっぱいの愛を』と『天国への階段』のバンドが今度はオリジナルブランドの楽器を! ならちゃんと宣伝文句になるだろうが。
Now imagine a talk show host on stage with a video CD of the movie Pearl Harbor and a book, Iris Chan's The Rape of Nanking
いや〜笑えますね! つまり、ここでてんこもり君は事実上敗北を認めているのです。あの記事を読むために、なんでそんな司会者を想像しなきゃならないんでしょうか(笑) (以下追記:さらに細かいことを言うと "a book" じゃなく "the book" 、というより "a copy of the book" ですね。それにいまどき "video CD" って・・・(笑) てんこもり君、ブルーレイって知ってるかね?)
"From the successor of the government ministry that gave us these two wonderful items now comes this cutesy little girl cartoon character ****!"
This visually makes sense because the three items have a common factor, that is "the entertainment media" and the two items sets the stage for the next item to come, which is "a cutsey cartoon character".
いや〜、視聴者はみんな「DVDビデオCD(笑)は真珠湾攻撃を印象づけるため、本は南京大虐殺を印象づけるため」としか思わんでしょうな。間違ってもそれらすべてが「エンターテインメントメディア」だ、なんてことは考えないでしょう。で、問題の記事にはDVDと本の写真でも掲載されてたわけw?
Therefore in the original sentence,
"From the successor of the government ministry that gave the world Pearl Harbor and the Rape of Nanking now comes a cutesy little girl cartoon character dressed as a maid with a hawkish stuffed teddy bear..."
will possesses this desired annoucement effect only if there is a common factor that connects the three items, Pearl Harbor and the Rape of Nanking and " a cutey little cartoon character" which in this case happens to be "the entertainment media."
いや、ここには "the entertainment media." であるようなものなどただの一つも登場しませんが(笑)
まあ、「Aという事例がある」を「かならずAだ」と強弁するという、詭弁とも言えない稚拙な主張です。
This bring us to the conclusion that Pearl Harbor and the Rape of Nanking must refer to the movie and a book, as otherwise there will be no desired announcement effect in this sentence and it will not be written this way.
"a book" じゃなくて "the book" *1だし "as" は不要。"will not be written" は "would not be written" だね。で、歴史的出来事としての真珠湾攻撃と南京大虐殺として解しても、ちゃんと "announcement effect" はある。単にてんこもり君が desire したものではない、というだけで。
*1:ないし既述のように "a copy of the book"。