補足

9月に「罪責感をめぐって」というエントリを書いた際に次のように記しておいた。

先日読んだ本でも著者は中国戦線に従軍した父親のそうした表現が執筆の契機であったという趣旨のことを述べていた。

そして注として「ところがそれがどの本だったか、思いだせない・・・。確認できたら追記します」と。その後、夏に買った本を中心に折に触れて頁を繰ったりしていたのだが見つからずにいたものの、今朝の新聞を見て解決した。10月19日朝日新聞(大阪本社)朝刊、「ひと」欄。

南京事件 引き裂かれた記憶をつなぐ映画を撮った 武田倫和さん(30)


 日中戦争の際、日本軍が多くの捕虜や市民を殺害した南京事件。その現場にいた元兵士6人が加害行為を告白した映画「南京・引き裂かれた記憶」を監督した。大阪などに続き、11月から東京で公開される。
(中略)
 亡くなった祖父も、中国に出征した元兵士だった。酔っぱらっては、「中国人の亡霊が殺しにくる」と日本刀を手に暴れた。今になって、祖父が胸に抱えていた闇が理解で来た気がする。
(後略)

映画の公式サイトの「作品紹介」に「監督メッセージ」として同趣旨のことが書かれていた。

私の祖父のまた、中国大陸で戦った旧日本軍の一兵士でした。 普段おとなしい人柄の祖父も、お酒を飲むと大暴れしました。 その時、祖父は「中国人の亡霊が自分を襲ってくる」という意味の言葉を叫んでいたそうです。 しかし、私は結局祖父が亡くなるまで、直接加害体験を聞く機会はありませんでした。 私は今回祖父と年齢が近い加害者・被害者の体験を、自分の祖父の記憶とダブらせて聞いていました。 決して遠い過去ではなく、私たちの祖父・父の生きた時代に起こった「南京大虐殺」の記憶を、彼らの言葉だけでなく、表情・口調・身振り手振りも含めて全身で聞き、感じてもらいたくてこの映画を製作しました。

本ではなくてこのサイトで読んだのでした。まさにこの映画に言及しつつ書いていたのに思いだせなかったとは。