ヘイドン・ホワイトと日本の歴史学

8月号の『思想』は「ヘイドン・ホワイト的問題と歴史学」と題する特集。安丸良夫小田中直樹岩崎稔の3氏による座談会「『メタヒストリー』と戦後日本の歴史――言語論的転回の深度と歴史家の責任――」をとりあえず読んだ。ホワイトの主著『メタヒストリー』の邦訳が未だ出ていない(間もなく刊行予定とのこと)ことに象徴されるような、ホワイトへの(あるいは言語論的転回への)反発をめぐって、やはり日本における歴史修正主義の問題がとりあげられている。「ポストモダンとか、言語論的転回以後という歴史的位置を背負っているかのように見られていた人たちは、九〇年代以降の〔歴史学の〕再政治化の季節に不甲斐ないように見えた」という岩崎氏の指摘には全く同感。