8月15日放送の番組

1944年10月25日、フィリピン東方海上レイテ沖海戦で初めて行われた「特攻」は、世界に衝撃を与えた。初めの3か月間、中核部隊として作戦を担ったのが、第二〇一海軍航空隊だった。特攻は一時の窮余策とも見られていたが、予想外の戦果を挙げ、やがて拡大していく。ある日、無人の桟橋への突入を命じられた特攻隊員が異議を申し立てたところ、幹部は一喝して言い放った。「特攻の目的は戦果にあらず。死ぬことのみ」と。

70年前、日本は圧倒的な国力差にも関わらずアメリカとの太平洋戦争に踏み切った。戦場は当初の占領目標をはるかに超えて広がり、膨大な死者を出すことになる。無謀な戦線拡大の悲劇は、なぜ起きたのか。実は開戦直後の半年間、国家の指導者の致命的な判断ミスが重なり、陸海軍の暴走が始まったことが明らかになってきた。組織のセクショナリズム、危機管理意識の欠如など、未曽有の事態を前にした国家の課題を新資料を基に描く。