「精神的ケア」という欺瞞

本ブログでは「黒い雨」に関する従来の通説に挑戦する研究についていくつか紹介してきました。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090708/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100304/p3
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20111122/p1
しかし厚労省は従来の立場を変更しないことを決定したようです。

 広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を巡り、厚生労働省の検討会は29日、体験した住民への身体的影響は認めず、「放射能への不安の軽減は重要」と精神的ケアに限定した意見を盛り込んだ報告をまとめた。被爆者援護対象区域の拡大につながる新たな降雨地域の認定は困難と改めて結論付けた。
(後略)

記事の後段で「検討会」のコメントとして紹介されている通り、被爆者援護に公金を支出する以上「科学的・合理的な根拠が必要」ではあります。そしてその「科学的・合理的な根拠」については、十分な情報を持たない私としては直接コメントしません。ただし、先にあげた過去エントリの一つでも述べたように、「被爆を否認される」ことそれ自体がメンタルヘルスに影響している可能性があります。それに対して「精神的ケアに限定」した対策をとる、というのには何か倒錯したものを感じざるを得ません。