最近見た番組、一口コメント

  • 1月16日 NHK総合 「沖縄 基地の街 女性たちはいま」

駐沖米軍将兵の子どもを妊娠・出産しトラブルに直面している女性を支援する NPO をとりあげた番組。番組の後半ではキャンプ瑞慶覧にある海兵隊の「家族支援施設」を取材。担当者は「子どもが関わる場合は 結婚していなくても 兵士には責任が生じます」「兵士の上官との間に入って妊娠した女性を支援できます」と、まことに結構な説明。しかし NPO のメンバーが支援を受けられない女性の存在を指摘すると、「日本の女性も 男に利用されないように 賢くなる責任があります」と手のひらを返す。家族支援施設の役割は「アフガニスタンイラクに派遣されている兵士への後方支援」だと説明されていたが、だとすれば子どもに対する責任を負いたくない兵士に対して積極的に責任を取らせるようにするはずもない、ということだろう。

  • 1月16日 NHK BS1 「沈黙の伝言〜日系カナダ人強制収容70年〜」

この問題が広く知られるようになったきっかけの一つ、日系二世のジョイ・コガワの小説 Obasan が出版されたのは1981年のことだという。「なぜ元慰安婦は90年代になるまで名乗り出なかったのか?」などという阿呆な疑問をもつ人間は、カナダ政府による日系人強制収容についても同じ疑問を抱くのがスジというものだろう。なお、カナダ政府による公式謝罪と補償は1988年に実現している。また、当時多くの日系人が暮らしていたブリティッシュ・コロンビア州では、昨年謝罪動議が満場一致で可決されている。
参考:AFPBB News 2011年12月07日 「元強制収容所を再訪した日系人たち

もちろん、「影」の部分がどれだけ紹介されているか、という関心で録画。2度の結婚の相手がいずれも「身請けした遊女」だったという山東京伝曲亭馬琴に語ったとされる言葉が紹介されている(馬琴の『伊波伝毛乃記』が出典)。

遊女にも賢あり才あり
かつひとの妻となりて 貞実なるもの多し
おおよそ身を花街に売るものは
或いは親の為にし 或いは兄弟の為にせざるは稀なり
これ 孝悌にして 身を万客に任するもの
あに憐まざらんや

現代の「慰安婦」問題否認論者には江戸時代の人間並みの人情すらないのかぁ……と思いたくなる。しかしよくよく考えてみると、遊女のうちに「孝悌」という徳を見いだすことは(従軍「慰安婦」の場合にはこれに「報国」が加わるわけだが)、保守派にとっては心理的に容易なことだ。むしろ「孝悌」の発露として理解してしまうことによって、性奴隷制の構造的暴力が見えなくなってしまうということなのかもしれない。