すでに多くの読者の方がご覧になった記事だと思いますが。
- 朝日新聞 2015年1月6日 「旧日本軍の偽札用紙見つかる 民間巻き込んだ製造裏付け」
「偽札」というなら、敗戦が不可避になって以降も発行された軍票なども良心的な当事者なら「偽札同然」だと認識していたでしょうね。紙屑になることは目に見えていたわけですから。
この偽札作戦が実際にどの程度の経済的な打撃を中国社会に与えたかはともかくとして、ただでさえしっかり認識されていない大日本帝国の戦争加害のうち、略奪や軍票の乱発に代表される経済的な加害というのはさらに過小評価されているように思います。
しかし占領地に暮らす特に貧困層の人々にとっては、経済的な収奪というのは直ちに命の危険に結びつくものです。その典型的なケースが大戦末期に現在のヴェトナムで発生した多数の餓死でしょう。餓死に至らなかったケースでも成長期に飢餓状態に晒されたために長らく健康被害に苦しんだ人が多数いたであろうことも想像できます。こうした目に見えにくい加害にも目を向けなければ、戦争をトータルに理解することはできないでしょう。