無理解の極北

http://www.news-postseven.com/archives/20140505_251753.html
とにかくゲスいので記事のタイトルすら引用したくありませんが、上記のヘイト記事について、です。

(……)そもそも、「慰安婦」と「韓国軍の蛮行」とは全く次元が異なる問題だ。慰安婦慰安所は、倫理的問題はともかく、戦時下では定められたルールに従って制度化されていた。慰安婦たちは貧困などの事情でその職に就いた職業売春婦である。

いやぁ本当にわかってないんだ、とこの一節には吐き気を通り越して清々しささえ感じました。日本軍「慰安所」制度の特徴はまさにそれが「定められたルールに従って制度化されていた」*1ことです。もし「制度化」されていなかったのなら、旧日本軍はたかだか他国の同じ軍隊とひとくくりにして批判されたにすぎないでしょう。
おそらくこれを書いたライター、および何の疑問も持たずにこれを掲載した編集者、何の疑問ももたずに読んだ読者たちは、人身売買の被害者を買春することにたいして何の後ろめたさも持たないのでしょう。「人身売買? 売ったやつが悪いんだろ。えっ? お前も買ったじゃないかって? いや、オレはただフーゾクを“活用”しに来たらたまたまそういう女にあたっただけだって」といった具合に。だからこそ、国家が人身売買システムを「制度化」して公式に利用することのグロテスクさに気づかないわけです。

*1:このライターはおそらく「公娼制」のことを念頭においているわけですが、私が問題にしているのはもちろん改正野戦酒保規定や各部隊レベルでの慰安所運営/利用規程のことです。