2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『日中戦争』『南京事件 増補版』ほか(追記あり)

ここのコメント欄で話題になっている秦郁彦の『南京事件』増補版(中公新書)を私も立ち読みしてきた。増補部分での結論は この20年、事情変更をもたらすような新史料は出現せず今後もなさそうと見極めがついたので、あらためて4万の概数は最高限であること…

グアム戦犯裁判において裁かれた性暴力の事例

ハムニダ薫さんのエントリで、およびyamaki622さんのこのエントリでもとりあげられている事例、グアム島でアメリカの市民権を持つ現地の17才の女性を日本軍の将校が慰安婦としていた、というよりも端的に拉致監禁して常習的に強姦していたと言うべき事例で拉…

「誰も主張してないことに反論する」症候群

ちょっと久しぶりに南京事件に関してよそさまでコメントしてきました。bat99さんから示唆を受けて訪問したブログなんですが、行ってみるとコメント欄にはすでに私のエントリと「南京事件FAQ」からコピペしてくれている人が。最近、このようなかたちで「虐殺…

これはすごい!

衝撃の告白だ。 『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』という書を読みました。というより、要点に目を通したというほうが正確です。 この書は「女性のためのアジア平和国民基金編」となっています。出版元は龍渓書舎です。 日本政府が平成4年から5年にか…

ポチ脱却の第一歩となるか

朝日新聞 asahi.com 2007年07月18日 日本政府は17日、戦争犯罪などを裁く国際刑事裁判所(ICC)への加入書を国連に寄託した。日本は10月にICCの105番目の加盟国となる。最大拠出国として全体の22%に当たる年約30億円程度を負担するほか、…

遺棄兵器被害訴訟、高裁逆転判決

東京新聞 Tokyo Web 2007年7月19日 朝刊 より。 旧日本軍毒ガス 中国人被害者ら逆転敗訴 東京高裁 国の放置、責任認めず 旧日本軍が中国に遺棄した毒ガス弾などにより戦後死傷した中国人の被害者や遺族が、日本政府が兵器の回収を怠ったために被害を受けたと…

「戦争の日本史」シリーズ

16日のエントリのコメント欄でも話題になった、吉川弘文館の「戦争の日本史」シリーズ全23巻のうち、22巻『満州事変から日中全面戦争へ』(伊香俊哉)、第23巻『アジア・太平洋戦争』(吉田裕・森茂樹)が日中戦争を扱っています。それぞれの目次は以下の通…

『満州事変から日中戦争へ』

岩波新書の「シリーズ日本近現代史』の第5巻、加藤陽子氏による『満州事変から日中戦争へ』。ちょっと前に読み終わっていたのだがとりあげそびれていて、なんというか間が悪くなってしまったのでごく簡単に。帯に「満蒙権益とは何だったのか」とあるように、…

『第11軍通信隊』

古書店で見つけた従軍記。著者は元陸軍大尉の久保村正治氏、タイトルが示す通り、高等工業高校を卒業して入営、甲幹として陸軍通信学校を卒業、野戦電信第9中隊の将校として一号作戦他に参加した経歴の持ち主。戦争の裏方である通信部隊の従軍記だが、目次を…

『日中戦争から世界戦争へ』

予告の実行か…というと違います。 このブログ(のコメント欄)でも度々言及されている永井和教授*1の『日中戦争から世界戦争へ』(思文閣出版)には「日中戦争と陸軍慰安所の創設」という章があるのだが(第五章)、ここでとりあげるのは第一章「日本陸軍の…

予告

『諸君!』7月号の秦郁彦・大沼保昭・荒井信一による鼎談がちょこっと話題になっていて、6月末には大沼氏が『「慰安婦」問題とは何だったのか メディア・NGO・政府の功罪』(中公新書)を出した…ということでさっそく買って読んでいるのだが、これについてき…

今月の雑誌より

実は私はいわゆる論壇誌というやつを含めて雑誌をあまり読まない単行本趣味なのだが、今日は珍しく3冊まとめ買い。 『世界』8月号はさすがに「盧溝橋事件70年――日中戦争の記憶とどう向き合うか」という特集を組んでいる。掲載されている関連記事は以下の通り…

『歴戦1万5000キロ』

藤崎武男、『歴戦1万5000キロ 大陸縦断一号作戦従軍記』、中公文庫 古書店で手に入れたものだが、文庫化が2002年、親本の刊行が96年なのでそう古い本ではない。著者は歴史家の藤原彰と同じ陸士55期、敗戦時の階級も大尉で同じである。藤原彰の『中国戦線従軍…

1937年7月7日…

今日は盧溝橋事件から70年という日にあたる(ただし、支那駐屯軍歩兵第一連隊の牟田口連隊長が攻撃を命令したのはすでに8日になってから)わけだが、新聞のテレビ欄をみる限り特にこの事件を特集した番組などは予定されていないようだ。 現代史家は盧溝橋事…

米核不拡散問題特使の「原爆」発言

asahi.com 7月4日 米特使、「原爆使用が何百万人もの日本人の命救った」 米政府のロバート・ジョセフ核不拡散問題特使(前国務次官)は3日の記者会見で、広島・長崎への原爆投下について「原爆の使用が終戦をもたらし、連合国側の万単位の人命だけでなく、…

「誤解を与える発言」「気持ちを傷つける発言」(追記あり)

久間防衛相の原爆容認発言について安倍総理は、「誤解を与える発言」「気持ちを傷つける発言」という常套句によって幕引きをはかるつもりのようである。 しかし「誤解」だというのなら責任の一端は発言の聞き手(ないし発言を伝えたマスコミ)にもあるわけだ…