2017-01-01から1年間の記事一覧

上告もせずに終わっていた「朝日新聞を糺す国民会議」訴訟

チャンネル桜が主導する「朝日新聞を糺す国民会議」が『朝日新聞』に対して起こしていた訴訟は一審原告敗訴、今年の9月末に控訴審でも原告敗訴の判決が下っていたわけですが、その後どうなったのか久しぶりにサイトを覗いてみたら、上告せずに敗訴判決が確定…

『日本軍兵士』

吉田裕『日本軍兵士――アジア・太平洋戦争の現実』、中公新書、2017年 同じ著者による『日本の軍隊――兵士たちの近代史』(岩波新書)や著者の指導教官だった故・藤原彰の『餓死した英霊たち』(青木書店)の延長線上に位置づけることのできる研究だと思うが、…

「ビンの中のお父さん」

NNNドキュメント'17 2017年12月17日深夜 「ビンの中のお父さん」 なんとも挑戦的なタイトルですが、ABCC(原爆傷害調査委員会)の調査対象にさせられた被爆者やその遺族に取材した番組です。ABCCの問題点についてはこれまでも指摘されてはいましたが、研究倫…

「強制されたというなら兵隊さんも同じ」論の誤り

相変わらず「吉田証言」の一点突破全面展開的発想で大阪市長が愚行を繰り広げている今日このごろですが、「強制連行」を巡ってはもう一つ「強制されたというなら兵隊さんや従軍看護婦だって同じだ」という否定論があります。軍がつくった「慰安所」の規定で…

テレビ局による先行研究・調査の“横領”疑惑

山口放送が制作し、NNNドキュメント'16で放送された「奥底の悲しみ〜〜戦後70年、引揚げ者の記憶〜」について、山本めゆ・日本学術振興会特別研究員が次のような告発を行っています。 日本学術振興会特別研究員の山本めゆと申します。山口放送制作「奥底の悲…

現在の知識を過去に持ち込む否定論

南京事件否定論者が敗残兵の殺害を正当化する際に持ち出す論拠に、「見逃せばまた戦線に復帰してくるから」というものがあります。南京攻略戦が国際法的には戦争でもなく、かつ「居留法人保護」等の名目で正当化できる余地のある軍事行動でもない、ひたすら…

「外国籍元BC級戦犯・不条理の記録」

朝日新聞DIGITAL 2017年10月31日 「外国籍元BC級戦犯の記録展」 写真パネル展「外国籍元BC級戦犯・不条理の記録」が30日、東京都の千代田区立九段生涯学習館2階「九段ギャラリー」で始まった。連合国軍の軍事裁判でBC級戦犯として裁かれた朝鮮半島…

第10回「真の近現代史観」懸賞論文、結果発表

コメント欄にて gansyu さんがご指摘になったように、第10回アパ懸賞論文の受賞者が発表されました。 最優勝賞は稻恭宏(東京大学)の「日本は低線量率放射線医科学によって復活し人類と地球を救う」で、一体どこが「近現代史観」やねん? という感じですが…

読み比べてみよう!

「ヒラリー・クリントンの奇妙な提案」 「ヒラリー・クリントンの奇妙な提案」 あれあれ〜。同じタイトルの、同じ日付の記事のはずなのに、ずいぶんと長さが違うなぁ。

勝手に自爆したくせに逆恨みしたガメがいまだにあの一件を蒸し返しており、その度に信者が粘着してくるので降りかかる火の粉を払っておくねっ!

ガメ・オベール(@gamayauber01)が「裁判記録を読んだ」とデマを飛ばした記事の魚拓はこちら。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100128/p2 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100125/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100129/p4

書評『日本軍の治安戦』

笠原十九司さんの『日中戦争全史』上下巻が増刷を重ねているそうで、主要メディアがほとんど「日中戦争勃発八十年」という事実にライトを当てないなか、数少ない良い知らせだと思います。 さて、立ち回り先の図書館に所蔵されていないためなかなか参照する機…

86年後の9月18日

満洲事変勃発から86年となる今日、グーグルニュースで検索して“満洲事変にちなんだ記事”と言えそうなものは次のとおりでした。 中日新聞 9月17日 (社説)「負の歴史に学んでこそ 週のはじめに考える」 毎日新聞 9月18日 (教育の窓)「ひ孫がみた戦争/上 …

「なぜアメリカ人はヒロシマに?

〜高まる核の脅威の中で〜」 NNNドキュメント'17 2017年9月10日(日) 24:55〜 「なぜアメリカ人はヒロシマに?〜高まる核の脅威の中で〜」 アメリカ・トランプ大統領誕生。北朝鮮の核開発。原爆投下から72年...。核の脅威はかつてないほど高まっている。世界…

「戦時中の動物園」展2017

2008年にレポートした大阪市立天王寺動物園の「戦時中の動物園」展、久しぶりに行ってまいりました。 2008年のときは、『朝日新聞』が報じたヒョウとその飼育係の男性が展示の中心でしたが、今年はゾウが中心の展示でした。 2008年の主役だったヒョウと飼育…

「毛沢東は日本軍と共謀 阿片で巨利!」?

今年の5月、次のようなコメントを頂戴しました。 Question 2017/05/06 12:45 慰安婦で思い出したのですが、「韓国民に告ぐ!反日という甘えを絶て」という本を書いた金文学が 15年戦争関係でWikipediaの毛沢東で引用されていて https://ja.wikipedia.org/wik…

「戦時中の動物園」

はてダ、ツイッターのプロフ写真に使っているリタの話題をツイッターのTLで見かけたので、久しぶりに天王寺動物園のHPにアクセスしてみました。企画展「戦時中の動物園」は今年も開催されるとのこと。というか、明日からだ! 企画展「戦時中の動物園」 日時 …

『資源の戦争』

ある日あなたの家――農家であったと仮定しよう――に突然外国人がやってきて、「今日からもうサトウキビは植えつけなくてもいい」「ゴムのタッピング(樹液採集)もしなくていい」「若い衆は、こんなところで農業をやっていないで、○○の飛行場建設現場で働けば…

『兵士たちの戦場』

山田朗『兵士たちの戦場―体験と記憶の歴史化』、岩波書店(シリーズ:戦争の経験を問う)、2015年 「日本社会全体として〈戦争の記憶〉の希薄化が進展している」ことを踏まえた「継承すべき〈記憶〉の再構成と歴史化」の試み。具体的には800点を超える戦争体…

今夏の戦争関連番組(適宜追記)

NHK Eテレ 2017年8月5日(土) 午後11:00〜午前0:00 ETV特集「告白〜満蒙開拓団の女たち〜」 テレビ朝日ほか 2017年8月6日(日)午前4時30分〜 テレメンタリー2017「追跡!原爆影響報告書 〜隠された安田高女の記録〜」 テレビ朝日ほか 2017年8月6日(日…

100年以上続く“反露”行事

毎日新聞 2017年7月15日 「宗像大社 沖ノ島を保護 現地大祭を中止へ」 大社によると、大祭は、1905年に沖ノ島沖であった日本海海戦の勝利を記念して始まった。戦前は本土の大社で実施され、58年から海戦のあった5月27日に沖ノ島で催す現在の形にな…

『昭和天皇の戦争』

山田朗、『昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』、岩波書店、2017年1月 昭和天皇の政治や統帥への関与については、著者にはすでに『昭和天皇の軍事思想と戦略』(校倉書房)などの著書があり、著者自身断っているように内容的には…

(日本の右翼にとっての)恥辱の碑の傍らに佇む名越二荒之助センセイ

日本協議会(日本青年協議会)の機関誌、『祖國と青年』の1994年11月号に「パラオに建てられた鎮魂の碑」という記事が掲載されていたので複写をとりました。寄稿者は名越二荒之助です。 あのこっ恥ずかしい、非実在“ニミッツ提督の詩”を刻んだ石碑の隣に立っ…

『二十世紀研究』刊行についての『朝日新聞』報道

『朝日新聞』のデータベースを用いた調べものをしていて、次のような記事があったことをいまさらながら知りました。 『朝日新聞』 2000年12月20日朝刊(京都2) 「20世紀考える雑誌、京大教授らが創刊 /京都」 京都大学の柏倉康夫教授(当時)の呼びかけで…

NNNドキュメント'17「戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか」

さる5月21日深夜に放送されたNNNドキュメント'17「戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか」。一昨年の「南京事件 兵士たちの遺言」と同じく、放送時間が通常の約倍の拡大版。違うのは、今回は事前に番宣がなされたこと。やはり「南京事件 兵士たちの遺言」…

NHKの忖度

国連の拷問禁止委員会が2015年末の日韓「合意」について、内容が不十分だとして韓国政府に対し見直しを「勧告」した件。読売新聞や産経新聞も「見直し」を「勧告」したという見出しで報じています。 YOMIURI ONLINE 2017年05月13日 「慰安婦巡る日韓合意、見…

千葉市長が露呈させた日韓「合意」の本質

すでに熊谷俊人・千葉市長本人のツイッターでの発言が批判を浴びていた件です。 産経ニュース 2017.4.28 朝鮮学校補助金、交付せず 千葉市長が廃止言及も 弁護士「裁量権逸脱の恐れ」 熊谷市長は会見で「朝鮮学校が地域から孤立しないように交流事業に補助し…

新任最高裁判事の答弁を否定していたネトウヨ

この4月から最高裁の判事になった元外交官の林景一氏については、2013年10月13日の『朝日新聞』の報道(「慰安婦問題の拡大阻止 92~93年、東南アで調査せず」)において、次のようなかたちで登場したことがあります。 インドネシア政府が日本政府の 慰安…

『読売新聞』連載[時代の証言者]

お読みになっている方もおられることと思いますが、『読売新聞』の連載「時代の証言者」で去る㋂14日から秦郁彦氏が取り上げられています。相変わらず「慰安婦」問題についてはアレですが、旧軍関係者に聞き取りをしていた時のエピソードなどはなかなか興味…

「通説」を語る資格

もっぱら「パン屋→和菓子屋」が話題となっている高校教科書の検定結果ですが、もはや驚くまでもないこととして南京事件の犠牲者数に関する記述が後退させられています。朝日新聞の報道によれば、文科省教科書課は「20万人以上は学問的通説ではないなど問題…

『私は貝になりたい』を反米プロパガンダのファンタジーと断罪する者だけが『鬼郷』に石を投げよ

日本では商業ベースでの上映などおよそ実現しそうにない映画『鬼郷』に対して歴史修正主義者が難癖をつけていることについては、すでに法華狼さんが紹介しておられる。 http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20160216/1455694424 産経新聞はというと、予想を…