文献紹介

『主戦場』への遠吠えまとめ

先日ご紹介した山岡鉄秀に加えて、ケント・ギルバートが『正論』の6月号で負け惜しみを書いています。とるに足らない内容ですが、「性奴隷の定義がどんどん勝手に広げられていく」と「かつてのGHQの「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」のよ…

『世界』19年2月号

岩波書店の月刊誌『世界』の2019年2月号では第2特集として「戦争の記憶と向き合い続ける」が掲載されています。 ・裁かれた者の「記憶」と「記録」(内海愛子) ・強制労働問題の和解への道すじ――花岡,西松,三菱マテリアルの事例に学ぶ(内田雅敏) ・戦後…

『ナチスの戦争』

-リチャード・ベッセル、『ナチスの戦争1918-1949 民族と人種の戦い』、中公新書(ナチスの戦争1918-1949|新書|中央公論新社) しばらく前に全4章のうち3章まで読んだところで電車内に置き忘れてしまい戻ってこなかったので長らく中断していたのだが、先日…

連載「東学農民戦争をたどって」

去る1月15日から週末を挟んで21日まで、『朝日新聞』夕刊紙上で全5回の連載「東学農民戦争をたどって」が掲載されました。担当は『『諸君!』『正論』の研究』の上丸洋一記者です。 (東学農民戦争をたどって:1)民衆抵抗の地、初対面で涙:朝日新聞デジタ…

「ヒトラーは“ジャンキー”?」

NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー 2018年4月24日(火)午前0時00分〜 「ヒトラーは“ジャンキー”?」 ヒトラーの主治医モレルの日誌には、ナチス総統が薬物を常用し麻薬の依存症に陥っていく過程が記録されていた! ナチス・ドイツの“暴走”は、麻薬によって…

「100分de名著 松本清張スペシャル 第3回 歴史の裏側を暴き出す  〜「昭和史発掘」〜」

NHK Eテレ 2018年3月19日(月)午後10時25分〜10時50分(再放送:2018年3月21日(水)午前5時30分〜5時55分/2018年3月21日(水)午後0時00分〜0時25分) 「100分de名著 松本清張スペシャル 第3回 歴史の裏側を暴き出す 〜「昭和史発掘」〜」 昭和初期の時代…

『日本軍兵士』

吉田裕『日本軍兵士――アジア・太平洋戦争の現実』、中公新書、2017年 同じ著者による『日本の軍隊――兵士たちの近代史』(岩波新書)や著者の指導教官だった故・藤原彰の『餓死した英霊たち』(青木書店)の延長線上に位置づけることのできる研究だと思うが、…

書評『日本軍の治安戦』

笠原十九司さんの『日中戦争全史』上下巻が増刷を重ねているそうで、主要メディアがほとんど「日中戦争勃発八十年」という事実にライトを当てないなか、数少ない良い知らせだと思います。 さて、立ち回り先の図書館に所蔵されていないためなかなか参照する機…

「なぜアメリカ人はヒロシマに?

〜高まる核の脅威の中で〜」 NNNドキュメント'17 2017年9月10日(日) 24:55〜 「なぜアメリカ人はヒロシマに?〜高まる核の脅威の中で〜」 アメリカ・トランプ大統領誕生。北朝鮮の核開発。原爆投下から72年...。核の脅威はかつてないほど高まっている。世界…

『資源の戦争』

ある日あなたの家――農家であったと仮定しよう――に突然外国人がやってきて、「今日からもうサトウキビは植えつけなくてもいい」「ゴムのタッピング(樹液採集)もしなくていい」「若い衆は、こんなところで農業をやっていないで、○○の飛行場建設現場で働けば…

『兵士たちの戦場』

山田朗『兵士たちの戦場―体験と記憶の歴史化』、岩波書店(シリーズ:戦争の経験を問う)、2015年 「日本社会全体として〈戦争の記憶〉の希薄化が進展している」ことを踏まえた「継承すべき〈記憶〉の再構成と歴史化」の試み。具体的には800点を超える戦争体…

『昭和天皇の戦争』

山田朗、『昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』、岩波書店、2017年1月 昭和天皇の政治や統帥への関与については、著者にはすでに『昭和天皇の軍事思想と戦略』(校倉書房)などの著書があり、著者自身断っているように内容的には…

『読売新聞』連載[時代の証言者]

お読みになっている方もおられることと思いますが、『読売新聞』の連載「時代の証言者」で去る㋂14日から秦郁彦氏が取り上げられています。相変わらず「慰安婦」問題についてはアレですが、旧軍関係者に聞き取りをしていた時のエピソードなどはなかなか興味…

『シベリア出兵』

麻田雅文、『シベリア出兵―近代日本の忘れられた七年戦争』、中公新書 日本の近代史に占める重要性に比して知られることの少ないシベリア出兵についての、近年の研究成果が新書で紹介される意義はきわめて大きいものと思われる。終章で著者が指摘している日…

NHKアーカイブス「二・二六事件の実像」

明日は二・二六事件から81年目の日となりますが、NHK総合では1979年のNHK特集「戒厳指令“交信ヲ傍受セヨ”〜二・二六事件秘録〜」をNHKアーカイブス枠で放送します。 2017年2月26日 午後1時50分〜 午後3時00分 NHKアーカイブス「二・二六事件の実像〜近代日本…

朝日新聞連載「新聞と9条」で中帰連に言及

『朝日新聞』に連載中の「新聞と9条」、現在は『平和主義の国で」と題する章になっていますが、その第2回から第15回で中帰連の活動が紹介されています。主流メディアで中帰連の活動が伝えられる機会はあまりありませんので、まだご覧になっておられない方は…

『毛沢東の対日戦犯裁判』

大澤武司、『毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526名の日本人』、中公新書 タイトル通り中国共産党政府による日本人戦犯(容疑者)の処遇をテーマとしたもの。比較的最近の刊行で入手しやすい類書としては岩波新書の『中国侵略の証言者たち』などが…

『陸軍士官学校事件』

筒井清忠、『陸軍士官学校事件―二・二六事件の原点』、中公選書、2016年 陸軍士官学校事件とは、本書のサブタイトルにもあるように二・二六事件のきっかけの一つとして扱われてきたクーデター未遂事件。摘発のきっかけは、あの辻政信が士官学校学生をスパイ…

第9回「真の近現代史観」懸賞論文・受賞作発表

すでに当ダイアリ10月5日付エントリへのコメント欄で gansyu さんが指摘してくださっていますが、改めて。アパの「真の近現代史観」懸賞論文、第9回の最優秀賞はモラロジー研究所の西鋭夫氏が受賞。明治維新 Dis というのは右派論壇でさほど目立たないながら…

「国際ワークショップ : 日中戦争の深層」

id:s3731127306 さんから古いエントリにトラックバックをいただいたので。 そこで紹介されている芳井研一氏の論文は「国際ワークショップ : 日中戦争の深層」の報告として掲載されたもの。その他の論考とあわせてこちらで一覧を見ることができます。

「時代刻む法廷 ケンブリッジ大学准教授、バラック・クシュナーさん」

朝日新聞デジタル 2016年6月28日 (戦後の原点)時代刻む法廷 ケンブリッジ大学准教授、バラック・クシュナーさん 紹介されているのは以下の書籍ですが、この値段なら邦訳が出るのを待とうかな。ペーパーバック版で半額くらいになればいいのですが。 https:/…

リフトン『思想改造の心理』(2)

(承前) リフトンは1954年1月に香港に渡り、そこで17ヶ月にわたって「思想改造」を受けた西欧人25人と中国人15人に面接した。いずれも身柄の拘束が解かれてからさほど経っていない時期の面接であることに留意されたい。 西欧人との面接にもとづく研究結果を…

リフトン『思想改造の心理』(1)

ロバート・J・リフトン(小野泰博訳)、『思想改造の心理 中国における洗脳の研究』、誠信書房、1979年 刊行年から分かる通り、古典的と言ってよい著作です。原著に至っては1961年のものです。しかし「洗脳」に関する右派の主張はすでに本書によって反駁され…

”経済関連特集がちょっと多いだけの『WiLL』”こと『Voice』

ワックとか展転社みたいなところが歴史修正主義と民族差別を商品としていることについては「まあそうでもしないと喰っていけないんだろうな」と思うわけですが、そう考えるといっそう罪が重いのが例えば PHP です。ここから出ている月刊誌『Voice』がどんな…

井上靖『中国行軍日記』刊行

2009年に、小説家の井上靖が招集されて日中戦争に従軍した際の日記が発見されたというニュースについての記事を書きました。その日記や戦地からの手紙などを収録した『中国行軍日記』が刊行されるとのことです。 朝日新聞DIGITAL 2016年3月18日 静岡)井上靖…

日本軍と酒

こんな本が刊行されたとのことです。 高森直史、『海軍と酒 帝国海軍糧食史余話』、潮書房光人社、2016年2月 私がこれまで読んできた文献、資料は陸軍に関するものが中心なのですが、これも機会があれば読んでみたいと思います。 陸軍における飲酒の実態につ…

久々の「七平メソッド」解説

『日本人とユダヤ人』(以下、引用の出典は角川文庫版のページ数のみを示す)の第十二章は「しのびよる日本人への迫害」というおどろおどろしいタイトルがつけられており、さすが反共デマゴーグだけあって「中韓の反日包囲網がっ!」とか「マスゴミは在日に…

『戦場体験者 沈黙の記録』

保阪正康、『戦場体験者 沈黙の記録』、筑摩書房、2015年7月 筑摩書房のPR誌『ちくま』での連載をまとめたもの。著者が聞き取りをしてきた旧軍関係者の証言を紹介しつつ、それらが戦後の日本社会で公にはほとんど語られなかった、という意味での「沈黙」の意…

ユネスコに申請された「南京大虐殺」記録に関する解説

現在発売中の『世界』(岩波書店)2016年1月号で、笠原十九司さんによる「国際社会に歴史修正主義は通用しない ユネスコ世界記憶遺産登録の実相」が掲載されています。中国が登録申請(厳密には「申請」ではなく「推薦」とすべきとのこと)した資料のリスト…

『海軍の日中戦争』

笠原十九司、『海軍の日中戦争 アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』、平凡社、2015年6月 目次などの情報はこちらをご覧ください。 1997年に刊行された『日中全面戦争と海軍―パナイ号事件の真相』の続編ともいうべき笠原十九司さんの新著。本書でもパナイ号…