国会図書館「デジタルコレクション」の恩恵

著作権が消滅した資料をデジタル化して利用可能にする国立国会図書館の「デジタルコレクション」が近年大幅に拡充されたことはご存じの方も多いかと思います。国会図書館に出向かなくても自宅から閲覧できる資料が増え(利用者アカウントは必要なケースが多いですが)ています。戦前戦中期の文献だけでなく、意外と新しいものも閲覧可能になっていますので、アジア太平洋戦争の従軍記や部隊史など、古書店をまわるか所蔵している図書館を探すしかなかった文献も利用可能になりました。

たとえば第十軍の憲兵だった上砂勝七憲兵少将(敗戦時)の『憲兵三十一年』もこの通り自宅にいながらにして閲覧できるようになっています。かつては地元の図書館を通じて国会図書館から複写を依頼していたことを考えるとずいぶん楽になりました。

憲兵三十一年』奥付

雑誌『偕行』も閲覧できますので、連載「証言による南京戦史」も自在に読めるようになりました。

『偕行』1984年4月号

むろん部隊史や従軍記はこれまでも歴史研究者の調査対象ではありましたが、多くの市民が(たとえば自分の地元の部隊を調査対象として)とりくむならばなにか新しい発見があるかもしれません。