2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「反転可能性」について

さて「反転可能性」要請というのは、その反転の可能性を誠実に想像してみるのでなければ正義の原理として機能しない*1。反転が現実にしばしば起きるような場合には、人々はいやでも誠実に他者の視点をシミュレートするだろうが、「官邸のチェック」によって…

亀田スタイル

on subjectivity on objectivity 沖縄戦は事実上日本の領土内で行なわれた唯一*1の地上戦であり、民間人に限定しても当時の沖縄県民の5分の1ほどが死亡したとされているわけである。他のいかなる都道府県も、広島県や長崎県でさえ、これほどの比率で非戦闘員…

これはすごい!

なにがすごいって、例の「心の狭い学究」氏の新しいエントリですが。あれほどまでに自分の読者を見くびってるとは! まあ、「バカにする」というかたちでの「信頼」というのも世の中にはあるんでしょう。そのあたりについてはまた稿を改めるとして、とりあえ…

『敗北の文化』

ヴォルフガング・シヴェルブシュ、『敗北の文化 敗戦トラウマ・回復・再生』、法政大学出版局 いやまだ買っただけで読めてないんですが。ドイツ語原著の第2版と同年に出版された英訳版を底本にした邦訳で、英訳からの翻訳を勧めたのは原著者だとのこと(「訳…

屈折した自虐

朝日新聞夕刊に連載されている「新聞と戦争」シリーズは先週月曜日、15日から「表現者たち」と題する章が始まっており、後に『麦と兵隊』で人気を博すことになる火野葦平が占領間もない杭州で芥川賞を授与される場面(授与のために日本から杭州へ行ったのが…

時野谷本と坪井流史料分類法

先日から紹介している『家永教科書裁判と南京事件 文部省担当者は証言する』ですが、いやぁ本というのは買ってみるものですなぁ。なにに行き当たるかわかったものじゃない。 bat99さんが紹介しておられる江口圭一、『十五年戦争研究史論』での教科書検定にま…

ホドロフスキさんによる『京都師団関係資料集』紹介

すでにご存知の方が多いとは思いますが、ホドロフスキさんが「南京陥落後一週間企画」と題して、南京戦従軍将兵の日記から1937年12月13日〜19日の部分を紹介しておられます。出典は『南京事件 京都師団関係資料集』(青木書店)。

補給艦の航泊日誌、誤って? 破棄

asahi.com 2007年10月16日 防衛省、補給艦の航泊日誌「誤って破棄」 防衛省は16日午前、民主党の外務防衛部門会議で、インド洋で給油活動をしていた海上自衛隊の補給艦「とわだ」の03年7〜11月の航泊日誌について「今年7月に誤って破棄した」と説明…

『久生十蘭「従軍日記」』

作家久生十蘭の日記が講談社より出版されているのを発見、さっそく購入(翻刻=小林真二、解説=橋本治)。三一書房の全集買ったけどろくに読んでないなぁ…と反省しつつ。 昭和18年に海軍報道班員としてインドネシアやニューギニアなどに派遣された時の日記…

戦傷病者戦没者遺族等援護法の問題

ni0615さんが本日のエントリ「産経新聞が沖縄戦犠牲者感情を無視する卑劣漢の本性顕す。」でとりあげているのは、遺族年金が戦争体験についての証言を歪めているのではないか…という右派の勘ぐりの問題。実はこれ、上記『家永教科書裁判と南京事件 文部省担…

続・教科書調査官の証言

時野谷滋、『家永教科書裁判と南京事件 文部省担当者は証言する』、日本教文社 同書より、1983年の検定で対象となった沖縄戦の記述をめぐるやりとりについて。 なお、この本は表題が示す通り、裁判(第3次訴訟)での双方の主張についても旧文部省の視点から…

ちょっとした空想

ここでの私自身のコメント(引用にあたって誤字を訂正)。 swan_slabさんの >彼は、同集会が公正であるべき法手続きの粗悪な模倣であり、こうした市民の振る舞いに相当いらだっていたらしく という動機分析が正しければ…のはなしですが、歴史学者にも歴史学…

ちなみに…

「直接的な命令や暴力による強制と実行を容易にしたりそのような行動を選好するように誘導すること」をことさら区別する思考が従軍慰安婦問題においてどのような役割を果たし、また「心の狭い学究」にとっては関係がないであろう(少なくとも当人はそう主張…

で、…

最初のエントリの末尾で引用した箇所についてである。 ここで言いたいのはそういう事実の積み重ねの議論ではなくて被害者の特権性にすぐに飛びついているところが結局「弱い議論」を作っていますよというお節介の話である。 こちらからも「おせっかい」な話…

そもそも教科書の記述はどう書き換えられたのか

承前。 個人的には、直接の介入と間接的な影響力の行使とか、氏が参照している歴史研究者の抗議内容のように直接的な命令や暴力による強制と実行を容易にしたりそのような行動を選好するように誘導することを区別しない思考というのは非常に法的ではないなあ…

最強伝説おおや

on 「おおやにき on performativity」 「全体的な感想としてはElleさんと同じく反論・批判になっているのかどうかという点で首をかしげざるを得ない、という感じ」という点については、“ええそうでしょう、自分に対する「反論・批判」というのはきわめて限ら…

万年与党は気楽な稼業ときたもんだ♪

少数派が教科書の記述に異議をとなえようと思えば、デモだったり署名だったり国会決議だったりと「目に見える」形でアピールせねばならず、そうなると「教科書の記述を政治的圧力で変えていいのか?」と叱ってくださるありがたい学者先生も登場するわけであ…

On Reversibility

上のエントリで次のように書いた点について。 比較対象のうち一方は被害者側の生存者の証言であり、他方は加害者(と目される)側の証言である。それを「「思い違い」の可能性など」のひとことで同じ土俵に載せてしまうのは為にする懐疑主義としか言いようが…

パフォーマティヴな否定論

かつて女性国際戦犯法廷を批判したこと(このエントリを中心としてその前後のエントリにおいて)をご記憶の方もおられるかもしれない法学者、大屋雄裕氏が沖縄戦「集団自決」をめぐる教科書検定問題についてエントリを書いている。 結果が気に入らないからと…

文部省教科書調査官の証言

捨身成仁日記 「そもそも集団自決問題は軍による島民虐殺をごまかすためにお上が持ち出したものだろうに」 駄文 「集団自決があったことそのものが疑われるのではないか?という疑問」 上記2エントリのソースになっているのがこちら。「集団自決」について…

「南京事件否定論者兼ホロコースト否定論者」また発見

本館の掲示板でホドロフスキさんのコメントを読んで、ちょっと調べているときに発見したネタ。 2CH・グースの質問掲示板&ブログ投稿場所 2007年 9月17日(月)07時31分39秒の投稿。 グースさんはもう何週間も前に目にした情報かとは存じますが… ホロコースト…

『タイガーフォス』を買う人々

アメリカ第101空挺師団の「タイガーフォース」小隊がヴェトナムでおかした戦争犯罪を追及した、オハイオ州の地方紙の調査報道を単行本化したもの。2004年のピュリツァー賞を受賞。実は今日買ったばかりでまだ読んでいないのだが、ピンと来てAmazonの「この商…

これはさすがに釣りか?

「チャンネル桜 掲示板」の「地獄の戦場」カテゴリ、「邦人記者銃殺!ミャンマー軍事独裁政権!」での「義男嘩」氏の投稿。 日本国の法律に (外患誘致) 第八十一条 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する と言うのがあります。つ…

しらじらしさの見本

YOMIURI ONLINE 2007年10月7日 「72年沖縄返還時、「核密約」示す米公文書を発見」 1972年の沖縄返還後に、米軍が有事に際し核を持ち込むことを認めた「密約」が、69年11月に当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領の間で行われた首脳会談で取り交…

『南京の真実』と陰謀論

本館の掲示板でEzoWolfさんからご教示をいただいたので、『正論』最新号の「製作日誌」を立ち読みしてきたのですが、以前アイリス・チャンの「自殺」の背後に陰謀ありと臭わせたのに続いて、今回は南京防衛軍司令官唐生智が共産党のスパイだった、と主張され…

沖縄戦「集団自決」に関する教科書検定をめぐって

多くの人々が亡くなったばかりの時点でこういうことを書くのはちょっと不謹慎のような気がして控えていたのだけれども、二つの出来事を対比してみる時どうしても頭を去らないことがある。ビルマ軍がデモ隊を武力鎮圧し日本人カメラマン長井健司さんが亡くな…

小説をソースに慰安婦問題を論じるひと

ステージ風発 「慰安婦問題を再訪する??これでも「性的奴隷」だったのか。」 「慰安婦は性的奴隷ではなかった??伊藤桂一氏の名作が描く兵士と女性の交流」いやもちろん、小説を史料として語ることのできる歴史の側面というのはあります。しかしこんな論じ方…