文部省教科書調査官の証言

捨身成仁日記 「そもそも集団自決問題は軍による島民虐殺をごまかすためにお上が持ち出したものだろうに」
駄文 「集団自決があったことそのものが疑われるのではないか?という疑問」
上記2エントリのソースになっているのがこちら。「集団自決」についての記述はもともと文部省(当時)の側から盛り込むよう「強制」した、という点について、文部省側の視点から裏付けておく。
時野谷滋、『家永教科書裁判と南京事件 文部省担当者は証言する』、日本教文社
副題が示すように著者は文部省の教科書調査官。同書202ページからが沖縄戦に関する著者の主張を扱っている。原告(家永)側が地裁に提出した著者(調査官)の口頭での告知の記録が引用されている(著者もその記録を承認したものと考えられる)。

(調査官)沖縄の県民の犠牲の問題なんですが、これも昨年末、いろいろ審議会でも論議されたところでございまして、すでに新聞などにも発表しておりますように、沖縄戦の全貌がわかるような書き方をしていただきたいということでございます。「そのなかには日本軍のために殺された人も少なくなかった」と。これはおっしゃるとおり、事実ですね。しかし、その損害の中の一番人数的に多いという、犠牲者が一番人数的に多い一般市民の場合は、やはり集団自殺*1というのが一番多いので、それをまず第一にあげていただきたいと。
(203ページ)

なお、ここで告知されているのは「修正意見」なので、書き換えを「強制」したと表現することに問題はない。

*1:原文は「自殺」にルビで「(ママ)」。