2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「ココログ別館」へのコメントへの返答

すっかり「跡地」状態になっている「ココログ別館」のエントリにコメントをいただいたのでこちらでお返事。 どうでもいいですけど、30万の人を殺すのは結構大変です。 東京大空襲や、広島長崎の原爆でやっと20万、30万の死者です。当時日本がどうやって30万…

旧軍が抱えた根本的矛盾

本館で書いたこのエントリとの関連で。 旧日本軍の最大の弱みは突き詰めれば経済力、技術力の不足だった。海軍の艦艇が「小さな船体に重武装を載せた、トップヘビー」なものだったことはよく指摘されるが(「第四艦隊事件」などがその現われ)、江口圭一は当…

グッテンタグ作品についての報道への反響

ビル・グッテンタグ監督による、南京事件を扱った映画の情報はすでにIMDBにも掲載されており、それによると現在ポストプロダクション段階、タイトルはNankingとなっており、ウッディ・ハレルソンがウィルソン医師役で、マリエル・ヘミングウェイ(アーネスト…

ダブスタのお手本(追記あり)

9月27日の当ブログエントリ、白井洋子、『ベトナム戦争のアメリカ ―もう一つのアメリカ史―』、刀水書房にid:ravianrose氏がコメントをよせておられる(ちなみに、「ばら色の人生」は"la vie en rose")。私が氏のダイアリーにコメントしたことを受けてのこと…

北博昭、『軍律法廷 戦時下の知られざる「裁判」』、朝日選書

関連エントリ 空襲軍律 その一 空襲軍律 その二 (以上、id:bat99さん) 『日中開戦―軍法務局文書から見た挙国一致体制への道』 『法廷の星条旗 BC級戦犯横浜裁判の記録』 (以上、当ブログ)内容についてはbat99さんが紹介しておられるので、そちらをご参照…

『ヴェトナム戦場の殺人』

デイヴィッド・K・ハーフォード、『ヴェトナム戦場の殺人』、扶桑社ミステリー MPを主人公とした短編3本を収めた短編集で、著者はMPとして68年から69年までヴェトナムに従軍したという経歴の持ち主。戦場を部隊としている点を除けばまるまるミステリのプロッ…

北博昭『日中開戦―軍法務局文書から見た挙国一致体制への道』、中公新書

旧陸軍が「空襲軍律」を制定した経緯について紹介しておられるbat99さんのエントリで言及されている、『軍律法廷―戦時下の知られざる「裁判」』(朝日選書)の著者、北博昭氏の日中戦争論。副題が示すように、『支那事変海軍司法法規』という海軍法務部の内…

無錫旅情

同じく20日付け朝日新聞夕刊、「論説委員室から」。無錫氏当局者が企業誘致や観光振興のため街を日本人にアピールしようと考えたことが中山大三郎作詞・作曲の「無錫旅情」誕生のきっかけだった、と紹介されている。 (…) 列車で2時間ほどの上海で、小泉前…

爆弾を砲撃?

20日の朝日新聞夕刊より。イスラエルの公共放送「チャンネル1」の報道を伝えるかたちで、イスラエル軍地上部隊が軍トップの命令に背いてクラスター爆弾を大量に砲撃した疑いがある、と。調べてみると北海道新聞のウェッブ版でも (前略) イスラエル紙ハーレ…

石川達三、『生きている兵隊 【伏字復元版】』、中公文庫

中央公論の特派員として38年1月に南京入り、第16師団歩兵第33聯隊の兵士に取材し、また上海でも取材を行なったうえで書かれた、極めてノンフィクションに近い小説。部隊の行動などが史実とよく一致することは歴史家も認めている。南京で国民政府発行の紙幣を…

南京事件FAQ、公開開始

南京事件FAQ Project 編集委員のみなさま、ご苦労さまです。

『消えた細菌戦部隊』、『医学者たちの組織犯罪』

常石敬一、『消えた細菌戦部隊―関東軍第七三一部隊』、ちくま文庫 ―― 、『医学者たちの組織犯罪―関東軍第七三一部隊』、朝日文庫 サブタイトルはまったく同じですな、こうして並べてみると。 さて、『消えた…』の方はこの分野の古典ともいうべき文献で、実際…

「ファルージャの戦いは、硫黄島と同じように、尊敬をもって語られるようになるだろう」

11月10日、国立海兵隊博物館(でいいのかな? 原語は the National Museum of the Marine Corps )の式典でブッシュが語った言葉より。朝日新聞の報道をみたときには思わず「正気かよ」とブクマしてしまった。まあ日本だって1937年8月に中国諸都市への戦略爆…

チャップリン『独裁者』、変更されたエンディング

13日放送のNHK総合「プレミアム10」、「喜劇王チャップリン・世紀を超える」によれば、『独裁者』の台本にラストの演説シーンはなかった。代わりに、武器を捨てた兵士たちが楽しげに踊るラストシーンが構想されていたとのこと。ちなみにその台本では日中戦争…

ラムズフェルド、辞任

中間選挙の結果を受けて近いうちに…という観測はあったけどあっという間の辞任。

リアルタイムの視点

「後智慧ではなんとでも言える」とか「いまの価値観で過去を裁くな」というのは一般論としては一理あるわけだけれども、十五年戦争に関してこの手の論法が持ち出されるときにうさんくささを感じてしまうのは、「当時の指導者にとってアクセス可能であった情…

田中利幸、『知られざる戦争犯罪 日本軍はオーストラリア人に何をしたか』、大月書店

連合国のうち欧米諸国の捕虜に対する虐待・残虐行為としては泰緬鉄道建設のための強制労働、バターン死の行進、九大医学部生体解剖事件など広く知られているものもある一方、関係者以外にはほとんど知られずに終わっているものもある。本書が扱っているのは…

吉田裕、『現代歴史学と戦争責任』、青木書店

『日本人の戦争観』『日本の軍隊』『天皇の軍隊と南京事件』といった他の著作と重複する論点もあるものの、非常に重要な問題提起を含んでいるので今日入手が困難なのが惜しまれる一冊。特に興味深かったのが、戦後の歴史学のあり方や「進歩的知識人」の戦争…

フセイン元大統領に死刑判決

本人はまだ「大統領だ」と主張しているが。 ヨーロッパ諸国が「死刑」判決にどう反応するかに注目していたのだが、やはり死刑反対論が出てきている。仮に死刑制度を妥当なものとして前提するならフセインが死刑に価する戦争犯罪・政治犯罪を犯したことに疑い…

ネトウヨの言う通りなら日本人は皆殺し

藤原彰が『天皇の軍隊と日中戦争』で紹介している三光作戦(燼滅掃討作戦)関連の資料、北支那方面軍の「第一期晋中作戦復行実施要領」は「燼滅目標及方法」を次のように定めている。 1、敵及土民を仮装する敵→殺戮 2、敵性ありと認むる住民中十六才以上六…

本筋からはずれた部分への反応なので申し訳ないですが…

やはり「論争」にコミットしている人間としては気になる点なので。「数学屋のメガネ」さんの「宮台氏の「左翼の嘘」という発言の意味」というエントリにて。 このような論理の使い方に関わる「嘘」の構造は、対立する議論にはいくつか見つかるのではないかと…

ブクマコメントより

2006年10月31日 tukinoha 社会 最新の論文を1本読めばわかることが、どうしてこれほど長く議論されているのか理解できない。教えて、エrい人! 2006年11月02日 zaikabou 歴史 そうですね。あと、教えてちゃんで悪いのだけれど、『最新の論文を1本』を具体的に…

ドイツ連邦軍兵士の「記念写真」スキャンダル

asahi.com 2006年11月01日21時27分 兵士の頭蓋骨問題が深刻化 独検察捜査、政界でも対立 アフガニスタンに派遣されたドイツ連邦軍の兵士が、人間の頭蓋骨(ずがいこつ)と一緒に記念撮影した問題が深刻化している。撮影時期や所属の異なる兵士の写真が独メデ…

「われわれ/彼ら」図式の多様性

昨日のエントリへの補足です。 そもそも人間が「われわれ/彼ら」という図式でものを考えることが避けがたいことなのかどうか。これはこれで大きな問題だが、「われわれ/彼ら」図式を乗り越えた、という自己認識はしばしば隠れた「彼ら」を想定しているだけ…