ブクマコメントより

2006年10月31日 tukinoha 社会 最新の論文を1本読めばわかることが、どうしてこれほど長く議論されているのか理解できない。教えて、エrい人!


2006年11月02日 zaikabou 歴史 そうですね。あと、教えてちゃんで悪いのだけれど、『最新の論文を1本』を具体的に教えてもらえると助かる…

tukinohaさんは南京事件否定論の破綻が自明であるという立場から「論文を1本読めば」とおっしゃってるんでしょうからあれなんだけど、「具体的に」1本、と言われるとやはり「論文1本ではなかなか…」ってことになりますな。というのも論文というのはかなり論点を絞り込んで書かれるものなので。最新の論文集の一つに『現代歴史学南京事件』(笠原十九司・吉田裕編、柏書房)がありますけど、その目次はこんな具合。

総論 現代歴史学南京事件笠原十九司・吉田裕)
第一章 南京虐殺の記憶と歴史学――敗戦直後の日本国民の「忘却」の構図(笠原十九司
第二章 南京事件論争と国際法(吉田裕)
 補論(1) 破綻した南京大虐殺の否定論者たち――学者の資質すら問われる東中野修道氏と藤岡信勝
 補論(2) 鈴木明著『新「南京大虐殺」のまぼろし』の誤り
第三章 中国国民政府の日本戦犯処罰方針の展開(伊香俊哉)
第四章 東京裁判における戦争犯罪訴追と判決――南京事件と性奴隷制に対する国家指導者責任を中心に(戸谷由麻)
第五章 日本軍慰安婦前史――シベリア出兵と「からゆきさん」(林博史
第六章 南京事件前後における軍慰安所の設置と運営――南京・上海・揚州の軍慰安所上海派遣軍 一九三七―一九三八(吉見義明)
第七章 南京レイプと南京の慰安所(川田文子)
第八章 南京大虐殺中国国民党国際宣伝処(井上久士)
おわりに

例えば第二章とか第八章を読めば「南京事件論争」の個別の論点については「論文を1本読めばわかる」と言えるけど、それ以上のことはなかなか…。にもかかわらず、せいぜいこのエントリくらいの長さのコメント書いても「長い、読めん」とか言われちゃうんだよなぁ…。