日中戦争

7月7日の日本メディア

7月7日、9月18日、12月13日といった「12月8日と8月15日以外」でアジア・太平洋戦争の節目となる日付に日本の新聞の報道をチェックする記事を書いてきましたが、今年の7月7日も相変わらず「中国で式典が……」という記事だけです。しかも『朝日新聞』はそういう…

7月7・8日「盧溝橋」報道

先ほど調べた結果、「盧溝橋事件」に関する記事は日経新聞と、時事通信および時事から配信を受けたウェブニュースサイトの記事しか見つけることが出来ませんでした。そのいずれもが「新華社によると」という形式で独自取材はありません。内容的にはこれまた…

『中国戦線九〇〇日、四二四通の手紙』

-朝日新聞DIGITAL 2019年5月28日 「山梨)日中戦争 戦地の様子生々しく 手紙を書籍化」 「中国戦線九〇〇日、四二四通の手紙」と題された一冊の本が出版された。収められているのは、出征した日中戦争の戦地から若き兵士が留守宅の家族へ宛てた便り。約2年…

7月7日報道予備調査

朝日新聞のデータベース「聞蔵IIビジュアル」を用いて、7月7日および8日の紙面に掲載された「盧溝橋事件」という単語を含む記事について、「盧溝橋事件から○年目」の節目の年を対象に予備的な調査をしてみました。8日を対象に含めたのは、7日に行われたイベ…

例年通りの7月7日

グーグルのニュース検索で「日中戦争」と「盧溝橋事件」を検索してみました。 後者の「詳細を見る(他96件の記事)」をクリックしても実際には盧溝橋事件に関する記事はありません。 来年は日中戦争勃発から80年目となりますが、少しは状況が変わるのでしょ…

中国戦線における飢餓

先日、中国戦線における日本軍の兵站に関する話題がTLにちらほらと流れてきていたので。 「中国は陸続き」と言ったって機械化の遅れた日本軍のこと、まして制空権も奪われた大戦末期になれば兵站線の確保は容易なことではない。 第27師団の中隊長として大陸…

『不敗の戦場』!

誰かの妄想・はてな版 「日中戦争・中国に負けていないという日本の虚構」 この「虚構」の蔓延ぶりを示す実例をば。 雑誌『丸』(潮書房)の別冊特集「太平洋戦争証言シリーズ」の第12号(1987年7月)のタイトルは「不敗の戦場」でございます。表紙右は、194…

コミンテルンの次はドイツだそうで

阿羅健一、『日中戦争はドイツが仕組んだ / 上海戦とドイツ軍事顧問団のナゾ』、小学館 戦前の日本を主体性のかけらもない無能国家として描く自虐史観本がまた一冊登場したようです。「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」にかんそうぶんが載ってます。 南京陥…

『〈満洲〉の歴史』

小林英夫、『〈満洲〉の歴史』、講談社現代新書 〈満洲国〉の歴史、ではなく〈満洲〉の歴史。第1章では17世紀から19世紀初頭までの「封禁の地の変容」(第1章の副題)が記述され、第7章では日本の敗戦後の「戦後中国東北」が、第8章では「満洲の記憶」が描か…

「コミンテルンの陰謀」説に「当時の価値観」で反論する

1937年の日中戦争勃発当時、外務省の東亜局長だった石射猪太郎の日記より。 8月19日 (…) ○本日石原莞爾の河相情報部長に内話する処によれば、支那軍に徹底的打撃を与える事は到底不可能と、私の予見も其通り。日本は今やソビエットの思う壷に落ち込みつつ…

「天下三分の計」と旧陸軍の中国認識

単なる連想、思いつきで(現時点では)なんの根拠があるわけでもないはなしなので、そのつもりで読み流していただければ。 現在テレビその他のメディアではジョン・ウーの新作『レッド・クリフ』の宣伝がさかんに繰り返されている。映画の描写は長坂の戦いか…

臨陣格殺の現場

先日紹介した『司法官の戦争責任』より、臨陣格殺の現場を目撃した法律家の回想を紹介する。今回も引用文の中に長い引用文が含まれていてややこしいのでご注意いただきたい。〔 〕内は引用者の注記。 (…)前野〔東京地裁判事から転じて「満州国」総務庁人事…

『満鉄調査部の軌跡』ほか

小林秀夫、『満鉄調査部の軌跡 1907-1945』、藤原書店 上田誠吉、『司法官の戦争責任 満州体験と戦後司法』、花伝社(発売、共栄書房) 正月に解消できなかった「積ん読」の一冊をようやく読了。『満鉄調査部の軌跡』は満鉄調査部*1の歴史を大きく4期に分け…

「失くした二つのリンゴ〜日本と中国のはざまで 長谷川テルが遺したもの〜」

今日の朝日新聞夕刊で紹介されていました。 http://www.minkyo.or.jp/01/2008/01/002222.html 1937年(昭和12年)、一人の日本人女性がタイプライターを抱え、中国人の夫を追って横浜港から中国・上海へ向かいました。その3ヵ月後に北京郊外・盧溝橋…

「虜囚の記憶を贈る」第6回

『世界』2008年2月号、野田正彰、「虜囚の記憶を贈る 第六回 受難者を絶望させた和解」 先月号に続いて「花岡事件」の被害者で、労工たちのリーダーだった耿諄(コウジュン)氏からの聞き書き。今回は労工たちを“雇用”していた鹿島建設との交渉や賠償請求訴…

『日中戦争と汪兆銘』

小林英夫、『日中戦争と汪兆銘』、吉川弘文館 汪兆銘政権の成立(および重慶を脱出した汪兆銘に対する日本の手のひら返し)については、日中戦争ないしアジア・太平洋戦争についての通史には必ず出てくるので通り一遍のことは知っているのだが、ほんとに通り…

「虜囚の記憶を贈る」第5回

こちらで紹介した野田正彰の連載の第5回。8月号、9月号と連載され10月号を立ち読みしたら載っていなかったので、「たった2回?」とおもってそれ以降確認するのを怠っていたら(論壇誌はあまりよまないもんで…)11月号から連載が再開されていた。 さて、第5回…

『証言 南京事件と三光作戦』

森山康平著、太平洋戦争研究会編、『南京事件と三光作戦』、河出文庫 以前に紹介した『知られざる証言者たち 兵士の告白』同様、もともと『週刊アサヒ芸能』に連載され、その後新人物往来社から『証言記録 三光作戦――南京虐殺から満州国崩壊まで』として単行…

屈折した自虐

朝日新聞夕刊に連載されている「新聞と戦争」シリーズは先週月曜日、15日から「表現者たち」と題する章が始まっており、後に『麦と兵隊』で人気を博すことになる火野葦平が占領間もない杭州で芥川賞を授与される場面(授与のために日本から杭州へ行ったのが…

『ガイサンシーとその姉妹たち』上映会

『ガイサンシーとその姉妹たち』の監督、班忠義氏が来日してトーク・イベント(京都)に出席するとのことです。詳しくはこちらをどうぞ。

毒ガス関連二題

一昨日のニュースだが。毎日新聞、8月10日、「毒ガス弾:千葉市の不発弾4発、旧日本軍「きい弾」の疑い」。 防衛省は10日、千葉市内の私有地で5〜今月に発見された不発弾4発が、旧日本軍の毒ガス弾「きい弾」だった疑いがあると発表した。きい弾の毒ガ…

「虜囚の記憶を贈る」

『世界』の8月号から連載が始まった野田正彰の「虜囚の記憶を贈る」。8月号と9月号は「中原からさらわれた少年」の前編、後編。14歳のときに河北省から福岡県三井鉱山田川工業所へと拉致され、辛うじて生き延びた李良傑さんからの聞き取り。現在発売中の号に…

絶対にこういう読み方をする人間がでてくると思った

小林英夫著、『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』(講談社現代新書)のことですが。 池田信夫 blog 「日中戦争とソフトパワー」 南京事件の「30万人」という第1報を出した英紙の記者ティンパリーが国民党の工作員だったという話は「まぼろし派」の人々によく引…

遺棄兵器被害訴訟、高裁逆転判決

東京新聞 Tokyo Web 2007年7月19日 朝刊 より。 旧日本軍毒ガス 中国人被害者ら逆転敗訴 東京高裁 国の放置、責任認めず 旧日本軍が中国に遺棄した毒ガス弾などにより戦後死傷した中国人の被害者や遺族が、日本政府が兵器の回収を怠ったために被害を受けたと…

「戦争の日本史」シリーズ

16日のエントリのコメント欄でも話題になった、吉川弘文館の「戦争の日本史」シリーズ全23巻のうち、22巻『満州事変から日中全面戦争へ』(伊香俊哉)、第23巻『アジア・太平洋戦争』(吉田裕・森茂樹)が日中戦争を扱っています。それぞれの目次は以下の通…

『満州事変から日中戦争へ』

岩波新書の「シリーズ日本近現代史』の第5巻、加藤陽子氏による『満州事変から日中戦争へ』。ちょっと前に読み終わっていたのだがとりあげそびれていて、なんというか間が悪くなってしまったのでごく簡単に。帯に「満蒙権益とは何だったのか」とあるように、…

『第11軍通信隊』

古書店で見つけた従軍記。著者は元陸軍大尉の久保村正治氏、タイトルが示す通り、高等工業高校を卒業して入営、甲幹として陸軍通信学校を卒業、野戦電信第9中隊の将校として一号作戦他に参加した経歴の持ち主。戦争の裏方である通信部隊の従軍記だが、目次を…

『日中戦争から世界戦争へ』

予告の実行か…というと違います。 このブログ(のコメント欄)でも度々言及されている永井和教授*1の『日中戦争から世界戦争へ』(思文閣出版)には「日中戦争と陸軍慰安所の創設」という章があるのだが(第五章)、ここでとりあげるのは第一章「日本陸軍の…

今月の雑誌より

実は私はいわゆる論壇誌というやつを含めて雑誌をあまり読まない単行本趣味なのだが、今日は珍しく3冊まとめ買い。 『世界』8月号はさすがに「盧溝橋事件70年――日中戦争の記憶とどう向き合うか」という特集を組んでいる。掲載されている関連記事は以下の通り…

『歴戦1万5000キロ』

藤崎武男、『歴戦1万5000キロ 大陸縦断一号作戦従軍記』、中公文庫 古書店で手に入れたものだが、文庫化が2002年、親本の刊行が96年なのでそう古い本ではない。著者は歴史家の藤原彰と同じ陸士55期、敗戦時の階級も大尉で同じである。藤原彰の『中国戦線従軍…