7月7日報道予備調査

朝日新聞のデータベース「聞蔵IIビジュアル」を用いて、7月7日および8日の紙面に掲載された「盧溝橋事件」という単語を含む記事について、「盧溝橋事件から○年目」の節目の年を対象に予備的な調査をしてみました。8日を対象に含めたのは、7日に行われたイベント、行事についての記事が掲載されている可能性があるからです。1984年以前の記事は全文検索ができませんが、「盧溝橋事件」ほどキーワードとしてメジャーそうなものならさほど取りこぼしはないものと思います。


・2017年 「中国初の空母、香港到着」「日本総領事館前、香港にも少女像 日本は撤去申し入れ」「盧溝橋事件80年、式典は控えめに」の計3件。論外ですね。


・2007年 「反戦僧、10月に復権 侵略批判し処分、岐阜の故竹中さん 真宗大谷派【名古屋】」「盧溝橋事件70年、香港で抗議活動」「(社説)盧溝橋事件70年 もう一歩、踏み出す勇気を」「侵略批判で処分の僧侶を名誉回復 京都・東本願寺、秋に盧溝橋事件70年【大阪】」「盧溝橋事件70年、各地で行事 中国、反日抑制に腐心 正常化35年、強調」の計5本(他にインデックスで言及あり)。社説で扱っているのは他の年よりマシとは言えますが、南京大虐殺に触れて「犠牲者数について中国は30万人と主張するが、いくら何でも多すぎないか」などとする腰の引けっぷりなので、とうてい手放しでは褒められません。


・1997年 「元日本兵撮影の写真、中国へ 小竹町の武富登巳男さん【西部】」「警戒呼びかけ 盧溝橋事件60周年を前に新華社が論評」「盧溝橋事件から60年 中国に「対日現実論」登場」「抗日戦争記念館の拡張祝う、行事は控えめ 盧溝橋事件60周年 中国」「香港や台湾で対日抗議行動 盧溝橋事件60周年で」の計5本。中国の反応を伺うばかりの、どうしようもない報道姿勢です。


・1987年 「「南京大虐殺」を見た 蘆溝橋事件50周年に元兵士3人が証言」「生体解剖7回も 元軍医、つらい思い告白 蘆溝橋事件50周年」「憲法9条も展示 抗日戦争記念館が落成 蘆溝橋50周年」「人民日報、条約順守し友好発展呼びかける 蘆溝橋事件50周年」「北京の記念集会で光華寮の重要性を訴え 蘆溝橋50周年」「「蘆溝橋50年、日本をどう見る」 中国の大学入試で論文出題」「日中戦争、死者2000万人超す推計 京都のシンポで中国発表」「日中友好目指して蘆溝橋50周年集会」の計8件。なんといっても目につくのは、「蘆溝橋」という誤った表記が使われていることです。50年経ってもアジア・太平洋戦争の節目と関わる地名が正しく表記されていなかったことに、関心の希薄さを感じずにはいられません。また件数も他の年より多く、日本軍の加害に触れた記事も2本あるとはいえ、日中戦争全体を主体的に総括しようとする記事は一つもありません。


・1977年 「不戦アピール発表 蘆溝橋事件40周年で文化人 日中戦争の資料も保存」の1件。日中国交回復から初の“節目の7・7”でこれ、というのはちょっと信じられない話です。


・1967年 「(社説)あれから30年」「蘆溝橋事件で記念社説 人民日報」「「蘆溝橋事件」から30年〈下〉 守れ国交上の三原則 犠牲無駄にせぬために」の計3件。3つ目は歴史学者の臼井勝美氏の寄稿です。前日の6日(夕刊)に劇作家の青江舜二郎氏による「「蘆溝橋事件」から30年〈上〉 心配なアジアの命運 少尉で北支の第一線へ」が掲載されています。

・1957年 なし。


なお1985年以降の記事についていえば、「盧溝橋事件」を含むものが624件、「光州事件」を含むものが809件、「天安門事件」が4517件、「拉致問題」が9480件でした。