「池上彰の20世紀を見にいく」の欠番
id:kurakimo さんのはてなハイクから idコールをいただいて知った件。テレビ東京系の BSジャパンに「池上彰の20世紀を見にいく」という番組があり、本放送時には第31回で南京事件をとりあげていたのに、再放送時にはオミットされている、とのことです。たまたま、今週はその前後が再放送されるタイミングにあたっていましたので、私も録画して見てみました。本放送のプログラムでは第28回が「盧溝橋事件〜日中全面戦争突入〜」、第29回が「第二次上海事変〜蒋介石の戦略〜」、第30回が「上海市民の悲劇〜無差別爆撃の時代〜」、そして第31回が「南京事件〜悲惨を伝えた映像〜」、第32回が「武漢攻略〜過酷な中国戦線〜」という流れだったようです。
ところが2月1日に第27回「村民たちは満州へ渡った〜長野県読書村〜」と第29回が再放送され、翌2日には第30回と第32回……という具合に、第28回と31回分が放送されていません。
私が見た範囲ではこの番組は当時の資料映像を中心とした構成になっており、毎回10分ですから解説部分はさほど踏み込んだ内容にはもちろんなっていません。ですから29回、31回についても無難な内容になっていたのではないかと想像します。番組サイトの「放送内容」には“お約束”のごとく「日本人研究者は、中国市民の死者の数は 「数千人説」「数万人説」もあり、いまだに真相は明らかではない」という一節があり、これは局的に「仮に右翼の抗議があっても大丈夫」な範囲でつくったことをうかがわせるからです。
それでも、私が見た回では上海への日本軍の爆撃を錦州爆撃から重慶爆撃へと至る流れのなかに位置づけ、非戦闘員に多くの犠牲を出したことを紹介していましたし、内陸へと進軍する日本軍が食料を“現地調達”という名の略奪によってまかなっていたことにも言及されていました。とすれば29回、31回についても最低限押さえるべきことには触れていた可能性が高く、再放送されずにいるというのは残念なことです。
今後の再放送予定を調べてみると第35回の「スペイン内戦〜独裁者フランコ将軍の登場〜」なども飛ばされるようですから、かならずしも盧溝橋事件と南京事件を狙い撃ちでオミットしたわけでもないようですが、やはり「自主規制」を疑いたくなるところでもあります。