『昭和史探索・4』

半藤一利編著、全6巻シリーズの第4巻『昭和史探索 一九二六ー四五・4』(ちくま文庫)が店頭に並んでいた。第4巻はまさに70年前の1937年から39年までをカヴァー。とりあげられているトピックは廣田内閣総辞職〜宇垣組閣のつまづき〜盧溝橋事件〜南京大虐殺〜「対手にせず」声明〜ノモンハン事件〜「欧州情勢は複雑怪奇」解散など。


収録された資料のうち(当ブログが扱う題材との関係で)めぼしいものは次の通り。

  • 石原莞爾中将回想応答録(一部):日中戦争前後の軍内部の情勢について。
  • 松井石根大将戦陣日記(抜粋):誰か一人を選ぶということで総司令官たる松井大将日記になったのかもしれないが、飯沼守(上海派遣軍参謀長)の日記の方が有益だったようにも思う。
  • 『野戦郵便旗』(抜粋):野戦郵便隊隊長として第二次上海事変〜南京攻略戦に従軍した佐々木元勝の日記*1。38年2月1日から3月中旬までの部分を収録。当時の南京の様子に触れている(浦口に遺棄された中国兵の遺体を目撃、など)。

『野戦郵便旗』には上海につくられた慰安所についての記述もある(南京や杭州慰安所を目撃したことにも触れている)。

左にある部隊本部の慰安所に関する一文を掲げる。
   下士官、兵、慰安所出入に関する注意
特殊な婦人に接する事は決して道徳上賛めたことではない。縦令戦場に在りと雖も、人倫、道徳を破壊して可なりと云う道理は毛頭もない。(…)

ではなぜ慰安所があるのか? 発売されたばかりなので長文の引用は控える。原文、漢字カタカナ混じり文。仮名遣いも改めた。

*1:コメント欄ご参照ください。