さほど資料価値のあるものでもないのだが、古書店で見つけたので。
南京事件の犠牲者数を「三十万人とも四十万人ともいわれ」としているのは某新聞社で連載され系列出版社から単行本になった『蒋介石秘録』。その新聞社とは…
そう、産經新聞。第1巻収録分の連載がはじまったのが1974年、南京事件の記述を含む第12巻が発売されたのが1976年。日中国交回復をうけての企画だったのかなぁと思うが、当時の記憶はもちろんないし、この連載の背景をちゃんと調べたわけでもないので単なる憶測だが。
だれが売ったのか知らないがこんなものも古書店に出ていた。
1995年、すなわち(中国にとっては)戦勝50周年の年に出版された『中国抗日戦争画史』(張承鈞ほか編、外文出版社)。なにしろ(巻末の年表を除いて)132頁の写真集で日清戦争以降の歴史をたどる…という本なので、南京事件についてもわずか2頁ちょっとが割かれているだけ(どちらかと言えば、共産党の功績を強調する編集に思える)。
この↑ページの前、見開き2ページが南京事件関連の写真にあてられているだけ。とはいえ、南京攻略戦当時の中支那方面軍の序列と、もうひとつ盧溝橋事件当時の支那駐屯軍の序列が(司令官、師団長、参謀長などの名前とともに)図表になっているのは、やはりこの二つの事件の中国側での位置づけを物語っていると言えそう。
もうひとつ注目すべきは、最後の6ページが戦後の「日中友好」にあてられていること。たった6ページと言えばそれまでだが、時期の問題もあってここだけがカラー写真を含むページになっているのでそれなりに目立つのじゃないだろうか。日本の首相としては田中角栄、大平正芳、福田赳夫、鈴木善幸、村山富市の写真が掲載されているほか、訪中した現天皇と宇都宮徳馬、三木睦子(故三木総理夫人)の写真などが掲載されている。