『〈満洲〉の歴史』

満洲国〉の歴史、ではなく〈満洲〉の歴史。第1章では17世紀から19世紀初頭までの「封禁の地の変容」(第1章の副題)が記述され、第7章では日本の敗戦後の「戦後中国東北」が、第8章では「満洲の記憶」が描かれている、というのが本書の最大の特徴だろう。これだけの期間を、しかも政治、軍事、経済、文化といったいくつもの側面にわたって描いている以上“駆け足”になっているところが見受けられるがそれはまあ新書というフォーマットではしかたのないことで、読者が本書を糸口に他の研究成果を読むべし、ということになるだろう。