フセイン元大統領に死刑判決
本人はまだ「大統領だ」と主張しているが。
ヨーロッパ諸国が「死刑」判決にどう反応するかに注目していたのだが、やはり死刑反対論が出てきている。仮に死刑制度を妥当なものとして前提するならフセインが死刑に価する戦争犯罪・政治犯罪を犯したことに疑いの余地はないとは思うが、一般論としての死刑反対以外にも死刑に慎重であるべき理由はあると思われる。
第一に、他の独裁者に与える影響である。死刑になる可能性があるのとないのとでは、悪あがきのしかたが違ってくるのではないか、死刑の回避を一般原則としておいた方がソフト・ランディングを容易にするのではないか、という点。むろん、独裁体制の下で虐殺された人々やその遺族の無念は想像するにあまりあるが、より穏健なしかたで体制転換を図ることができるならそれによって救うことができる人命もまた少なくないだろう。
第二に、短期間の裁判で戦争犯罪・政治犯罪の全容が解明できるとは思えず、徹底した真相究明のためにも「生き証人」として確保しておくことに意義はあるのではないか、と思われる。