文献紹介

朝日新聞連載「新聞と9条」で中帰連に言及

『朝日新聞』に連載中の「新聞と9条」、現在は『平和主義の国で」と題する章になっていますが、その第2回から第15回で中帰連の活動が紹介されています。主流メディアで中帰連の活動が伝えられる機会はあまりありませんので、まだご覧になっておられない方は…

『毛沢東の対日戦犯裁判』

大澤武司、『毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526名の日本人』、中公新書 タイトル通り中国共産党政府による日本人戦犯(容疑者)の処遇をテーマとしたもの。比較的最近の刊行で入手しやすい類書としては岩波新書の『中国侵略の証言者たち』などが…

『陸軍士官学校事件』

筒井清忠、『陸軍士官学校事件―二・二六事件の原点』、中公選書、2016年 陸軍士官学校事件とは、本書のサブタイトルにもあるように二・二六事件のきっかけの一つとして扱われてきたクーデター未遂事件。摘発のきっかけは、あの辻政信が士官学校学生をスパイ…

第9回「真の近現代史観」懸賞論文・受賞作発表

すでに当ダイアリ10月5日付エントリへのコメント欄で gansyu さんが指摘してくださっていますが、改めて。アパの「真の近現代史観」懸賞論文、第9回の最優秀賞はモラロジー研究所の西鋭夫氏が受賞。明治維新 Dis というのは右派論壇でさほど目立たないながら…

「国際ワークショップ : 日中戦争の深層」

id:s3731127306 さんから古いエントリにトラックバックをいただいたので。 そこで紹介されている芳井研一氏の論文は「国際ワークショップ : 日中戦争の深層」の報告として掲載されたもの。その他の論考とあわせてこちらで一覧を見ることができます。

「時代刻む法廷 ケンブリッジ大学准教授、バラック・クシュナーさん」

朝日新聞デジタル 2016年6月28日 (戦後の原点)時代刻む法廷 ケンブリッジ大学准教授、バラック・クシュナーさん 紹介されているのは以下の書籍ですが、この値段なら邦訳が出るのを待とうかな。ペーパーバック版で半額くらいになればいいのですが。 https:/…

リフトン『思想改造の心理』(2)

(承前) リフトンは1954年1月に香港に渡り、そこで17ヶ月にわたって「思想改造」を受けた西欧人25人と中国人15人に面接した。いずれも身柄の拘束が解かれてからさほど経っていない時期の面接であることに留意されたい。 西欧人との面接にもとづく研究結果を…

リフトン『思想改造の心理』(1)

ロバート・J・リフトン(小野泰博訳)、『思想改造の心理 中国における洗脳の研究』、誠信書房、1979年 刊行年から分かる通り、古典的と言ってよい著作です。原著に至っては1961年のものです。しかし「洗脳」に関する右派の主張はすでに本書によって反駁され…

”経済関連特集がちょっと多いだけの『WiLL』”こと『Voice』

ワックとか展転社みたいなところが歴史修正主義と民族差別を商品としていることについては「まあそうでもしないと喰っていけないんだろうな」と思うわけですが、そう考えるといっそう罪が重いのが例えば PHP です。ここから出ている月刊誌『Voice』がどんな…

井上靖『中国行軍日記』刊行

2009年に、小説家の井上靖が招集されて日中戦争に従軍した際の日記が発見されたというニュースについての記事を書きました。その日記や戦地からの手紙などを収録した『中国行軍日記』が刊行されるとのことです。 朝日新聞DIGITAL 2016年3月18日 静岡)井上靖…

日本軍と酒

こんな本が刊行されたとのことです。 高森直史、『海軍と酒 帝国海軍糧食史余話』、潮書房光人社、2016年2月 私がこれまで読んできた文献、資料は陸軍に関するものが中心なのですが、これも機会があれば読んでみたいと思います。 陸軍における飲酒の実態につ…

久々の「七平メソッド」解説

『日本人とユダヤ人』(以下、引用の出典は角川文庫版のページ数のみを示す)の第十二章は「しのびよる日本人への迫害」というおどろおどろしいタイトルがつけられており、さすが反共デマゴーグだけあって「中韓の反日包囲網がっ!」とか「マスゴミは在日に…

『戦場体験者 沈黙の記録』

保阪正康、『戦場体験者 沈黙の記録』、筑摩書房、2015年7月 筑摩書房のPR誌『ちくま』での連載をまとめたもの。著者が聞き取りをしてきた旧軍関係者の証言を紹介しつつ、それらが戦後の日本社会で公にはほとんど語られなかった、という意味での「沈黙」の意…

ユネスコに申請された「南京大虐殺」記録に関する解説

現在発売中の『世界』(岩波書店)2016年1月号で、笠原十九司さんによる「国際社会に歴史修正主義は通用しない ユネスコ世界記憶遺産登録の実相」が掲載されています。中国が登録申請(厳密には「申請」ではなく「推薦」とすべきとのこと)した資料のリスト…

『海軍の日中戦争』

笠原十九司、『海軍の日中戦争 アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』、平凡社、2015年6月 目次などの情報はこちらをご覧ください。 1997年に刊行された『日中全面戦争と海軍―パナイ号事件の真相』の続編ともいうべき笠原十九司さんの新著。本書でもパナイ号…

『ヒトラーとナチ・ドイツ』

石田勇治、『ヒトラーとナチ・ドイツ』、講談社現代新書 全7章中2章がユダヤ人迫害およびホロコーストに割かれているが、全体としてはむしろホロコーストに至るまでの、ナチ体制が確立するまでの歴史について近年の研究成果を含めて紹介したものとなっている…

『昭和陸軍全史1〜3』

川田稔、『昭和陸軍全史1 満州事変』/『昭和陸軍全史2 日中戦争』/『昭和陸軍全史3 太平洋戦争』、講談社現代新書 第1巻が昨年7月に出て、今年の6月に完結した3巻シリーズ。タイトルに「全史」とあるが、3巻本とはいえなにぶん新書版なので、第1巻は永田鉄…

『日清戦争』

大谷正、『日清戦争 近代日本初の対外戦争の実像』、中公新書、2014年 日清戦争について知りたい、という人がいたらためらうことなくまずこれを薦めたい、という良書です。清との戦争の影で進んでいた朝鮮半島支配などについてもきちんと目配りされています…

『ニュルンベルク裁判』

アンネッテ・ヴァインケ、『ニュルンベルク裁判 ナチ・ドイツはどのように裁かれたのか』、中公新書、2015年4月 本格的な研究書ではなく入門書。なので国際軍事法廷についての部分は、ある程度予備知識のある人々にとってそれほど目新しい情報を含んでいない…

『朝鮮王公族』

新庄道彦氏の『朝鮮王公族』(中公新書、2015年3月)を読了。植民地支配が生んだ存在が朝鮮王公族だが、私も含めて大方の日本人はせいぜい梨本宮方子の婚姻を思い浮かべるくらいの知識しかないのではなかろうか。 本書は大韓帝国サイド(あるいは王公族の)…

「9条を抱きしめて〜元米海兵隊員が語る戦争と平和〜」

NNNドキュメント'15 5月3日(日) 「9条を抱きしめて〜元米海兵隊員が語る戦争と平和〜」(55分枠) 戦後70年、日本は国家として他国民を誰一人殺さず、また殺されもしなかった。非戦を貫けたのは、戦争の放棄を定めた憲法9条があったからにほかならない。戦…

「抗日掃討」記録写真、続報

一昨年、旧日本軍による「抗日掃討」作戦の模様をとらえた写真が公表された件を取り上げました。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20130814/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20130922/p1 書籍化の予定があるとこの写真を取り上げた「報道特集」では述べられて…

『日本軍と日本兵』

一ノ瀬俊也、『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』、講談社現代新書 2012年に出た同じ著者の『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」 帝国陸軍戦法マニュアルのすべて』とアプローチや問題関心は基本的に同じ。ただし重点の置きどころは多少異なる(例えば、日本軍が…

『戦争はどう記憶されるのか』

上記エントリに関連した情報です。 伊香俊哉、『戦争はどう記憶されるのか―日中両国の共鳴と相克』、柏書房、2014年 撫順・太原の戦犯管理所及びそこでの「認罪教育」について書かれた日本語の文献はいくつかありますが、今年の2月に出たこの本の第四章「戦…

「ホロコーストをどう読むか」

ロバート・イーグルストン(聞き手:鵜飼哲)、「ホロコーストをどう読むか―『ホロコーストとポストモダン』をめぐって」、『みすず』、2013年12月号 『ホロコーストとポストモダン』、『ポストモダニズムとホロコーストの否定』などの邦訳書があるR・イーグ…

『捏造される歴史』

ロナルド・フリッツェ、『捏造される歴史』、原書房、2012年 タイトルだけ見てとりあえず借りてきたのだが、扱われているのは古代史にまつわる偽史の事例が中心で、ちょっと私の関心からはズレていた。とはいえ、「疑似歴史家」が「可能性と蓋然性の違いをあ…

朝鮮人虐殺の原点としての甲午農民軍「討伐」

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『戦争社会学ブックガイド』

http://www1.e-hon.ne.jp/content/toshoshimbun_2013_syohyou_3125_1-1.html ↑での『戦争社会学の構想』の紹介を読んで、同書の編者のうち2人が編者となった本を借りてきました。 野上元・福間良明編、『戦争社会学ブックガイド―現代世界を読み解く132冊』、…

『日本は過去とどう向き合ってきたか』

山田朗、『日本は過去とどう向き合ってきたか 〈河野・村山・宮沢〉談話と靖国問題を考える』、高文研 近代日本の軍事史の専門家による、歴史修正主義批判の入門書。I章〜IV章のタイトルは次の通り。 I 〈河野・村山・宮沢〉歴史認識三談話をめぐって──政界…

『フィリピンBC級戦犯裁判』

永井均、『フィリピンBC級戦犯裁判』、講談社選書メチエ、2013年 著者が岩波から2010年に刊行した『フィリピンと対日戦犯裁判』の方は未読。ゆえに本書が岩波本の一般向け簡略版なのか、それとも新たな観点や問題意識が加えられているのかについてはいまのと…