「時代刻む法廷 ケンブリッジ大学准教授、バラック・クシュナーさん」

紹介されているのは以下の書籍ですが、この値段なら邦訳が出るのを待とうかな。ペーパーバック版で半額くらいになればいいのですが。
https://www.amazon.co.jp/dp/0674728912
研究テーマは中国(国民党、共産党双方)にとってのBC級戦犯裁判の意義のようですが、記事では日本にとっての意味にも触れられています。

 ――日本では、BC級裁判はどんな意味を持ったのでしょうか。

 「日本にとっては二つ目の『犠牲』になりました。一つ目が、広島、長崎への原爆の投下。それに続く位置づけです」

 「神話になったようなドラマがあります。『私は貝になりたい』です。これはBC級戦犯の犠牲者としてのイメージを定着させました。しかし、日本で研究者が指摘したように、実際には主人公のように2等兵で処刑された例はなかった。多くの日本人の記憶に残ったイメージと、研究でわかったこととはかなりズレがあるのです」

 ――日本では、東京裁判など戦犯裁判の評価はいまも論争になります。

 「東京裁判は、目的と実施に際して出てきた問題を分けて考えなければいけません。通訳などの点で問題はたしかにありました。しかし、暴力で復讐せず、新しい秩序をもたらそうとしたことは否定できません」

 「BC級裁判も同じようなことが言えます。実際的な側面もあったし、問題もあったけれど、道徳的な、寛容な思想も入っていた」

戦犯裁判は勝者の一方的な裁きだった、という言説が戦後の日本ではそれこそ一方的に(被害者や裁いた側の声を聴くことなく)流布されてきたことは、歴史修正主義の温床の一つになったといえるでしょう。