「オレオレ詐欺もあった旧日本海軍

陸奥爆沈』の著者は先日亡くなられた作家の吉村昭氏である。これもなにかの縁かと思い、新潮文庫版を買って読んでいるところ。日本海軍における「火薬庫爆発事件」の系譜のなかには、巡洋艦「磐手」での放火未遂事件(明治39年)が含まれる。軍法会議での罪名に「私文書偽造行使、詐欺取材および同未遂」が含まれているのでなんのこっちゃ? と思っていたら、同僚の水兵の名前を騙ってその実家に「至急入用だから金拾円也を送付して欲しい」という手紙を書き、二件で計弐拾円を詐取していたのである。*1
まあこれは「日本軍の軍紀の弛緩ぶり」についての議論ではなく、犯罪の手口にはいろいろと新しいものも現われるが、他方で古くから変わらないものなんだな…というネタです。

*1:このケースは「行き当たりばったりに手紙を出して…」というケースではなく「同僚の名を騙って」なので、ほんとは「振り込め詐欺」とすべきでしたね。あまりに印象深かったのでちとフライングでした。