雑感

とりとめもないことをばいくつか。
中国のいわゆる「反日教育」批判への反論として、「中国人は学校教育を通してではなく、親から子へ、孫へと体験を語り継ぐことによって対日戦争観を形成している、それゆえ反日教育批判は的外れだ」というものがある。個人的にはそもそも学校教育にそこまでの力があるということに懐疑的だが、「教育が関係ないことはなかろう」とは思うし、日本と中国では情報の自由度が違うから学校教育の効果も違うということは考えられる。それでも、日中戦争史についての知識なんかは別として、旧日本軍に対する(あるいは大日本帝国に対する)基本的な感覚みたいなものは学校教育より「体験の語り継ぎ」によって培われている、という可能性は十分あるように思う。別に実証的な根拠はないけど、自分の身を振り返って。


いまでこそいっちょまえに太平洋戦争や日中戦争について書いているわけだけど、中学や高校で近現代史をどう習ったかなんてこれっぽっちも覚えていないし、大学では歴史学関係の授業なんて一つもとらなかったはず(これまた記憶が定かでない…)。日本人の読書行動に関する調査に鑑みるに平均的な日本人よりは多く本を読んでいるから結果として近現代史に関する書籍も平均よりは多く読んでいる可能性があるけど(ガキのころに読んだ戦記ものも含めて)、生徒・学生時代から数年前までで言えば近現代史というのは特に好んで読むジャンルではなかった。このブログ(それ以前には本館の方)でとりあげた文献の多くは読んだ直後にとりあげていて、つまりそれまでは読んでなかったということである。まさに泥縄(w
でもって、大日本帝国の実態をディテールに至るまで学びなおしてみると、これまでは漠然とした印象でしかなかったある類似性がより鮮明になってくるわけですよ。ええ、大日本帝国と「あの国」との類似性です。国際連盟を脱退したり1937年の九ヵ国条約会議への出席を拒否したりする振る舞い、威勢はいいけど中身の空虚な政府の声明だとか、外国に依存しないと飛行機も飛ばせないのに国際的に孤立しちゃうとか、他国民を拉致したりとか。国家予算に占める軍事費の割合も似たようなもんだし(日中戦争勃発以前から)。肖像写真拝んでましたしね(あんなに巨大ではなかったけど)。もちろん、日本が真似したわけじゃありませんが。
いろんなブログをみていると「大日本帝国および帝国陸海軍を美化する」姿勢は必ずといっていいほど「北朝鮮を哂う」姿勢とセットになっているわけだけど、これって大日本帝国や陸海軍についての理解が恐ろしく観念的でなければ不可能じゃないかな、と。ディテールを知っていればとてもじゃないけど「哂え」ないですよ。たった60年前、祖父母や曽祖父母の時代には「本土決戦」のために空手や弓矢の「研究」してた、ってんだから。世界最大の物量を誇る米軍相手に。いま、2006年に生きているわれわれにとってはこの60年というのはけっこう大きくて、「60年前と今では比べられんだろ」とか思いがちだけど、500年後の歴史教科書では「ほぼ同時代」扱いですよ。