佐藤生氏の公開?質問状

南京の真実 情報交換掲示板」のスレッド137でひっそりと公開されていた質問状について。
第1弾

その内容は、例の『温家宝首相への公開質問状』についてApemanさんのご見解を
頂戴したいというものです。

この公開質問状なるものはあちこちで転載されてますが、こちらで確認しておけば間違いありますまい。
で、感想ですが、「よくもまあ使い古された論法ばかり」ですね。「南京事件FAQ」では、この質問状の具体的な論点である「一」から「五」のすべてが反駁されてます。「六」については、「日本側にインチキ論法であったものをなかったと強弁する人間がいなくなれば、30万という数字の見直しについてももっと要求しやすくなるのにな」、というのが私の見解です。


第2弾

 Apemanさんは、方々のスレッドで以下の様に言張って、『南京大虐殺』の概念規定を明示
しない言訳としています。

「概念規定」というのが「どのような出来事を指して南京大虐殺というのか?」ということであれば、とっくに明示してますが? だいたい、「虐殺はあった」と主張する人間がどのような出来事を考えているのか、なんてことは笠原教授なり秦教授の新書を読めば分ることです(両者の間には「虐殺」とする範囲において見解の違いがありますが、そういう細部を問題にしたいのなら「どちらの説に近い考えか?」と問えばいいのです)。そもそも「どのような出来事が南京大虐殺と呼ばれているのか」を知らずしてそれを否定する、なんてことは不可能なはずであって、あなただって本当はご存知のはずですよね? そっから先でやろうとしていることがもう見え見えで、ばからしいので相手をしてらんない、ってことですよ。本気で「概念規定」を問題にする気があるのなら、「笠原十九司氏は『南京事件』の214-215ページで「南京大虐殺事件、略称としての南京事件」を○○と規定しているが・・・」と議論を展開すればすむことです。
なお、「概念規定」と「一つの歴史的出来事を再構成する」こととは大きく異なります。その掲示板を使用することへの不安はつい最近(私が予想もしないかたちで)あらわになったんじゃありませんでしたっけ? 他にも、私のコメントが掲載されるまでの3日ほどの間にすでに反論が用意されていて、そちらは速やかに閲覧可能になっていた・・・といったこともありましたね。


第3弾

 Apemanさんのいう『 歴史学者 』とは、どういうものですか?
 Define をお願いします。

(1)大学院の歴史学ないしそれに準じる講座で専門的な訓練を受け、(2)歴史学分野の学会に所属し、(3)学会誌や学会シンポジウムでの業績があり、(4)大学で歴史学ないし関連科目の授業を担当している(いた)ような人物、が典型的な「歴史学者」です。あくまで「典型」ですから(1)〜(4)は必要十分条件ではありませんが(アカポスが得られないポスドクは(4)を満たしませんし)。「歴史学者 = 歴史を学ぶ者 or 歴史から学ぶ者」という定義には同意できません。言葉は常識に即して使いましょう。

2.日本の国益にも関る問題を、何故にApemanさんのいう『 歴史学者 』にのみ委ねなければ
  ならないのか理解に苦しみます。

いつ誰がそんなことを主張したんでしょうか? 私が言っているのは「通説に反対する者こそが、まずは自説を論証してみせる必要がある」ということです。ただし、「証言は証拠にならない」とか「兵士が日記を書いたはずがない」とか「虐殺、という文言が使われていない文書は虐殺を証明する証拠にはならない」といった非常識な主張、「人口20万のところで30万人は殺せない」といった使い古された詭弁でもって歴史的事実を否定するのは、非常に「国益」にとって害であると思いますから、「『 歴史学者 』の研究結果も、勿論1つのご意見として尊重は致します」ということはまじめに考えられた方がよいですよ。

又、以下の様な主張もなされておりますが、未だにその実体が提示されていません。
   ・日本政府のお墨付きを貰った
   ・歴史学界では定説

いいえ、それは事実に反します。前者については外務省の見解、教科書検定などに日本政府の立場が現れています。後者については、歴史学プロパーの研究者で「虐殺があった」とする人物を私はあげることができるが、あなたは「虐殺はなかった」とする歴史学プロパーの研究者をあげることができなかった、ということで決着がついてます。もちろん、教科書検定も学会の「通説」が基準になる(はずである)ことは周知の事実です。


第4弾は1つ前のエントリと内容的に重なりますので、まずはそちらへのお返事を待つことにしましょう。