「映像' 14 なぜ私は語り続けるのか」を見て気になったこと

7月27日(日)深夜に MBS で放送された「映像' 14 なぜ私は語り続けるのか 〜94歳・ある日本兵の戦場」は、当ブログの読者の方であればご存知の方も多い近藤一さんをとりあげていたのですが、ちょっと気になるところが。番組のコンセプトとして近藤さんの「沖縄での被害体験」と「山西省での加害体験」の対比を強調しているわけですが、そのために“沖縄の住民から食料を強奪したり、住民を壕から追い出したりしたことはない”という近藤さんの発言を無批判に使ってしまっています。当然のことですが近藤さんが体験されたのも沖縄戦のごく一部です。番組は別段、近藤さんの発言を根拠として日本軍による沖縄県民への加害行為がなかったと主張しているわけではありませんが、沖縄戦もまた「記憶の暗殺者」たちのターゲットになっていることを考えれば、ちょっと不用意だったのではないか、と思います。
ところで、ヴィダル=ナケの著書のタイトルから拝借して「記憶の暗殺者」という表現を何度か使ってきたわけですが、欧米社会においては周辺化されているホロコースト否定論者とは異なり、日本における歴史修正主義者はこの社会の中枢に巣食って堂々と虚偽を触れ回ってるわけですから、「暗殺者」というのは違うなぁ、という気がしてきました。