自分の「仮説」にあわせて事実をねじ曲げてるのはどっち?
8月5日に朝日新聞が掲載した「慰安婦」報道検証記事の論点のうち、「強制」概念や「吉田証言」をめぐるものについては当ブログでも(どのエントリで、と特定するのが難しいくらい)たびたび触れてきました。挺身隊との混同を他紙も犯していた件については、ネットでは小倉秀夫弁護士がいち早く指摘されていました。そして金学順さんの「キーセン」としての経歴に朝日の報道が触れなかった点については、こちらのエントリで歴史修正主義者たちへの決定的な反論を行ったと自負しております。朝日の記事は、右派の主張が性差別的であることをきちんと指摘できていない点で、十分なものとは言えません。
ところが、右派メディアはあくまで「キーセン」であったことがさも大事であるかのように主張し続けるつもりのようです。
検証記事などによると、朝日は、元慰安婦の一人が強制連行されたように初報した後、元慰安婦が宴席での芸事を学ぶ「キーセン学校」に通い人身売買されたことを知ってもなお、キーセンのくだりには触れずに続報を書き続けた。自分の「仮説」(慰安婦=強制連行)に都合の悪い事実は伏せた、と言わざるを得ない。ところが、朝日は「意図的な事実のねじ曲げなどはありません」と結論づけた。
(http://www.yomiuri.co.jp/feature/ianfu/20140817-OYT8T50000.html)
「キーセンのくだり」が朝日にとって「都合の悪い事実」だという認識は、「金学順さんがキーセン学校に通っていたことは、日本軍の責任を考えるうえで重要な事実だ」という「仮説」に依拠しています。しかしこの「仮説」は上述の通り性差別的女性観から導かれるものであって、国際社会ではまったく通用しないものです。