ご承知の通り、外務審議官時代に国連女子差別撤廃委員会で「朝日の捏造」説をぶち上げた杉山晋輔が駐米大使になっています。赴任に先立ち『産経新聞』のインタビューを受けた杉山新大使は次のように発言しています。
米国でもいろいろなところに慰安婦像が建ち、関係する決議が議会で通っている。大変遺憾なことです。日本を代表する立場の者として、できるだけいろんな地方に足を延ばし、総領事とともに肩を並べてこれまで以上に努力し、誤解を解いていきたい。
私自身、2016年の国連女子差別撤廃委員会で、慰安婦に関する日本の考え方を説明しました。
《杉山氏は外務審議官だった平成28年2月、国連女子差別撤廃委で、軍による慰安婦強制連行を報じた朝日新聞の誤りを指摘し、「性奴隷」との表現にも「事実に反する」と主張した》
あのときに言った内容は鮮明に頭に入っています。日本政府の立場は、あれに尽きています。ああいう日本の非常に明確な確固たる立場があるので、皆さんにわかってもらう努力をするのが大使の重要な役目の一つだと確信しています。
《 》内は『産経』による補足部分です。
さて、3つの右派グループが『朝日新聞』に対して起こしていた「慰安婦」報道訴訟は、昨月24日までにすべて原告敗訴で決着しました。
- 朝日新聞DIGITAL 2018年2月24日 「朝日新聞の勝訴確定 慰安婦報道巡る名誉毀損訴訟」
先に決着していた2件(正確には同じグループが2つ訴訟を起こしたので3件)の訴訟はほぼ法律論で原告の請求を斥けたのに対し、最後に決着した日本会議系の訴訟では『朝日』の報道をめぐる原告の主張にも踏み込んで判断し、“朝日の誤報のせいで国際社会が誤解した”という主張も斥けられています。安倍首相自身も含め、安倍政権はこの右派のデマにのっかってきました。しかしその主張は司法によって斥けられたわけです。その意味で、これは極めて重要な判決です。
誰かこの点について、質問主意書で追及してくれる国会議員がいればいいのですが。