「Japan デビュー」訴訟、チャンネル桜の逆転敗訴

関連エントリ
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090423/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090618/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100525/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20140116/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20150127/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20150214/p1

チャンネル桜が主導して2009年の NHK スペシャル・シリーズ「Japan デビュー」の第1回「アジアの"一等国"」をめぐって起こされていた対 NHK 訴訟は、最高裁チャンネル桜側の逆転敗訴となりました。

地裁で原告の全面敗訴、高裁で一部勝訴となっていましたが、最高裁で再び全面敗訴となったわけです。
問題の判決理由ですが、これはなかなか興味深いものです。「人間動物園」という表現が原告の社会的評価を低下させた、という原告の主張(および高裁の判断)それ自体を退けたのです。

(……)本件番組が摘示したこのような事実により、一般の視聴者が、被上告人の父親が動物園の動物と同じように扱われるべき者であり、その娘である被上告人自身も同様に扱われるべき者であると受け止めるとは考え難く、したがって本件番組の放送により被上告人の社会的評価が低下するとはいえない。

つまり「人間動物園」は日本による台湾先住民への差別的扱いを告発するために用いられているのであって、台湾先住民の名誉を毀損するものではない……という極めて常識的な判断が下ったわけです。
この訴訟の争点は一見すると「女性戦犯法廷」番組改変をめぐる VAWW-NET ジャパンの訴訟と似ているのですが、今回は NHK の編集権を根拠とするのではなく、「番組が原告の名誉を毀損した、というのがそもそも言いがかり」だと認めたと言ってよいでしょう。