『流言・投書の太平洋戦争』

川島高峰、『流言・投書の太平洋戦争』、講談社学術文庫


『特攻月報』や当時の日記を資料として、「銃後」の意識を解明しようとする試み。「聖戦」意識を単なる「タテマエ」と片付けることなく、厭戦気分との複雑な絡まり合いを明らかにしようとする方向性は、戦後日本の戦争認識を考えるうえでも示唆をもつと思われる。
もっとも印象的だった一文を引用して紹介に代えたい。

(…)読者はこの国の官僚が、戦中、自国民に示し続けた冷酷さというものを本書の随所に見いだすであろう。