関東大震災時における虐殺事件について
厳密に言えばこの別館の守備範囲からははずれるのですが、ここでふだん扱っている問題に通じるところ多なので。先日みすず書房の『現代史資料6 関東大震災と朝鮮人』を古書店で安く手に入れることができましたから、今後も機会があればご紹介したいと思います。
昨年のエントリ、「関東大震災時における朝鮮人虐殺」
「ジェノサイド研究の展開 Comparative Genocide Studies」の「シンポジウム」記録、「関東大震災から81年−朝鮮人・中国人虐殺を再考する」(ブラウザによってはうまく表示されないようです)。山田昭次氏による基調報告「震災直後の首都圏で何が起きたのか?―国家・メディア・民衆」(PDF)。
昨日付けのエントリで(今日)書いたこととも共通しますが、関東大震災時における朝鮮人虐殺の犠牲者数推定を下方修正することに熱心な人がいる一方で、そうした人が政府に真相究明を訴えることに熱心なのかといえば、どうもそうではないようです。東京大空襲の犠牲者は約10万人とされるのが一般的ですが、すべての犠牲者の身元が判明したわけではなく、また一体一体が検死され死因が確定されたわけでもありません。これは大量殺戮の本質ともいうべきことで、「だから東京大空襲はなかった」などと言えないことはいうまでもない。にもかかわらず、まるで「刑事事件並みの捜査が行なわれない限り被害の実在は認めない」かのようなことを、特定の出来事−−日本政府、日本軍の責任が問われている出来事−−については言い出すひとがいるわけです。